私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年04月22日
南米ボリビアで気候変動によりにワイナポトシ氷河も危機が迫っている。科学者らの対応が急がれている。ワイナポトシ氷河(標高5,100メートル)は、急速な気候変動により年間約24メートルの速度で後退しており、20年以内に消滅する可能性がある。かつて氷で覆われていた谷は今や岩が露出し、融解水湖が氷河の後退を物語っている。
氷河の水は、同国エルアルトなどの都市部や高原の農牧業に不可欠である。それゆえワイナポトシ氷河融解は、気候変動が飢餓を引き起こすことの典型的な事例となる。いうまでもなく氷河消失は、人々の生活基盤を揺るがす大問題である。堆積物の増加、黒化による熱吸収、エルニーニョによる不規則な気象も、氷河融解を加速させている。すなわち、貧困と飢餓もまた加速しているのである。
アルゼンチンやネパールなどの科学者たちは、宇宙線中性子センサーを設置し、積雪と水分量を監視している。これらのデータは、氷河の変化とその影響を把握し、地域の水資源管理に活用されている。この活動はFAOとIAEAの支援を受けて行われている。
科学者たちは、融解によって露出した堆積物の分析から、気候変動が水質や土壌に与える影響も追跡している。ボリビアでは貯水池の建設や農地整備、森林再生、過放牧の制限など、水資源の確保に向けた対策が進められている。
過去、氷河は「不変」の象徴だった。しかし現在では「変化」の象徴となってしまった。科学者らの国際的観測ネットワーク構築、データ分析を通じて未来への警鐘を鳴らし、地域社会とともに持続可能な水の管理方法を模索している。気候変動と水資源の管理、それらは、そのまま貧困と飢餓を撲滅するための前提構築となる。
氷河後退の主因は地球温暖化であり、特にこの地域では、氷のない地帯から飛来する堆積物が氷河表面を黒く染め、太陽熱の吸収を増加させることで融解が加速している。エルニーニョなどの周期的な気象パターンも、降水量の不安定化や急激な融解を引き起こし、貧困と飢餓の加速も含めて問題を一層深刻化させている。
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