私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年04月22日
食糧安全保障とは、すべての人々が健康的で活動的な生活を送るために十分で栄養価の高い食料にアクセスできる状態を指す。翻って、これらの条件が満たされない状態を「食糧不安」という。食糧不安は、生命に深刻な影響を与えている状況であり、2023年には約8億人が慢性的飢餓に直面、2024年には約4億人が深刻な食糧不安に陥ってしまったと見込まれる。
食糧安全保障は、単に食料を供給するだけでなく、すべての人々が平等かつ持続的に食料にアクセスできることを意味する。これは社会的安定にも深い影響を与える問題である。
食糧不安の主な原因は、紛争、異常気象、経済ショックなどだが、これらが組み合わさり食糧供給を脅かし、結果的に社会の安定性を脅かす。すなわち食糧安全保障を支えるためには、「使用」「アクセス」「入手可能性」「安定性」の四つの要素が重要であり、これらが安定していないと、食糧不安が悪化する。
WFP(世界食糧計画)は、食糧安全保障を改善するために、緊急支援や現金支援を通じて食料供給に力を入れている。特に供給が不足しがちな時期に「リーン・シーズン・プログラム」という、食糧提供と同時に現金支給する取り組みで、人々の食料入手を支えている。加えてWFPは小規模農家に対し、農業生産の向上、収穫後の損失削減、交渉力の強化に関するトレーニングを提供している。これにより農家の生産性が向上し地域の食糧供給が安定することが期待されている。
またWFPは食糧安全保障に関するデータ収集を行い効果的な支援を提供するために、対面調査やモバイル調査、衛星画像、地理空間モデリングなどを用い、特にアクセスが制限される紛争地域でのリモート・データ収集を行っている。このデータは、食糧不安の状況を把握し、適切な支援を行うために活用される。
食糧不安を解決するためには、単に食料を供給するだけでなく、人々が自立できるよう支援することが重要である。WFPはそのためにさまざまな取り組みを行っており、国際的な協力と包括的支援が世界中に求められている。食の安全保障を確保し、貧困と飢餓の撲滅に向かって進んでいくためには、人々が安定した食料供給を享受できる社会を目指さなくてはならない。
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