私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年03月18日
1996年の世界食糧サミットによれば、食糧安全保障とは「すべての人々が健康的で活動的な生活を送るために、必要な食糧に物理的かつ経済的にアクセス可能であること」を意味している。食糧安全保障については四つの側面を理解しなくてはならない。
第一、食糧の物理的なアクセス。これは食糧生産のレベルや在庫、貿易に依存する。食糧が存在しても、それを物理的に入手できなくては意味がない。
第二、食糧への経済的なアクセス。国内外での適切な供給だけでは家庭レベルの食糧安全保障は保証されない。特に、収入、支出、市場、価格が入手可能でなくてはならない。
第三、食事を通じて身体が必須栄養素を最大限に吸収できること。十分な栄養摂取には、食事の準備、家庭内での食糧分配が関わっている。食糧が十二分にその機能を発揮しなくてはならない。
第四、上掲の3点が安定していること。すなわち、食糧に対する物理的、経済的、機能的なアクセスの継続性が重要である。食糧安全保障の継続性は、気候変動、政情不安、経済的要因によって大きな影響を受けるからである。
世界銀行は、食糧不安に取り組むために「栄養に配慮した農業」を推進し、世界中で食糧システムを強化している。弱い立場にある家庭へのセーフティネット強化、緊急支援のための迅速な資金調達、農業システムの回復力向上を目指した技術導入が含まれている。またサプライチェーンの改善、収穫後の食品ロス削減、食品流通の効率化が目指されている。また低・中所得国の食品安全リスクを評価し、農業開発のための助成金を提供する世界農業・食糧安全保障プログラム(GAFSP)を運営している。
同プログラムは、1,300万人以上の小規模農家とその家族を支援し、過去には13億ドル以上の助成金を提供した。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として、5,500万ドル以上の追加助成金も提供された。世界銀行は農業科学とイノベーションを推進し、世界の食糧と栄養の安全性向上を目指している。これにより、より多様な食品の生産や食糧システムの改善が期待されている。
貧困と飢餓の撲滅は、世界の金融経済とも直結した課題であることが世界銀行の態度表明からうかがわれる。
Unsplashのv2oskが撮影した写真