私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年02月04日
イスラエルとハマスの停戦合意(2025年1月15日により、パレスチナ・ガザ地区における食糧支援が本格化している。停戦発効後、初となる世界食糧計画(WFP)のトラックが、小麦などの食品を積んで、エジプトからイスラエルのアシュドッドを経由、ガザ地区へ入った。WFPによれば、ヨルダン、エジプト、イスラエルの検問所を利用し、今後、毎日少なくとも150台のトラックが支援物資をガザ地区へ供給することになる。
WFPは国境沿いに十分な食糧を備蓄しており、100万人以上3カ月分の食糧を供給可能である。食糧パック、小麦粉、温かい食事のための日用品、栄養補助食品なども含まれている。またガザ地区の地元経済復興を目指し、地元商店や工場を支援するとともに、商業活動の活性化に向けた現金およびバウチャー支援も実施予定となっている。
ただし現状は予断を許さない。今回の戦争によって約200万人が食糧支援に完全に依存しており、そのうち多くの世代が家屋と生計の手段を失った。北ガザ地区においては2カ月以上、食糧供給がほぼ停止状態にあり、冬の寒さと雨は、貧困と飢餓を加速させることになる。
WFPの支援範囲はガザ地区で約30万人、ヨルダン川西岸地区で約17万人に到達したが、この数字は対象となる人口167万5000人の10%にも満たない。特にガザ市域では、一世帯に提供される食糧がわずか2パックにとどまる状況が続いている。その大きな原因は、輸送ルートへの攻撃、治安悪化による略奪である。これまでにWFPは、1万1,550台のトラックで18万1,000トン以上の食糧をガザに輸送している。2025年1月時点で2,257トンの食糧を積んだ166台のトラックがガザに入った。しかし、それらは輸送ルートへの攻撃などの妨害行為によって、適切かつ必要に応じて配分されていない。
WFPによれば、今後の課題として資金不足が挙げられる。今後6カ月間でガザ地区の緊急ニーズを満たすには、少なくとも3億ドルの資金が必要となるからだ。ガザ地区における貧困と飢餓の防止のためには、すべての国境検問所が開かれ、確実に機能することが求められており、停戦条件の尊重が不可欠となる。援助物資の安全な通過、人道支援スタッフの自由移動が保障されなくてはならない。ガザ地区における飢餓防止のために国際社会の協力が必要となっている。
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