私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2025年02月04日
レバノン農業省は、2025年1月22日、国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)と連名で、同国における貧困と飢餓に関する報告書を発表した。同報告によると2024年後半以降の紛争激化の影響で、レバノン人口の約30%が深刻な食糧不安に直面している。総合食糧安全保障段階分類(IPC)分析において、約165万人が危機的または緊急レベルの食糧不安(IPC3)に直面し、そのうち20万1000人は緊急レベル(IPC4)に分類され、前回報告より倍増している。
2024年10月のレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラに対するイスラエルの進攻は、現地の人々の生活を破壊した。発生した避難民の多くは無事に戻ることができても、以前の住居と生計手段を失っている。同時に経済活動は停戦後においても回復が遅れており、紛争以前から続く経済危機がさらに悪化した。2019年以降、同国の実質GDPは34%縮小し、投資も停滞している。
結果、深刻な食糧不安が同国の人々を襲っている。事実、レバノン国内では5歳未満の子どもの4人に3人が栄養的に偏りと不足のある食事をしており、発育不全、消耗症のリスクが高くなっている。WFPは2024年、戦闘で避難を余儀なくされた75万人に食糧支援を行っている。
一方、イスラエルと諸外国との紛争は、レバノンのみに留まらない。2025年にWFPはシリア難民約90万人を含む250万人への支援を計画中である。レバノンの住民約97万人と同様に、シリア難民約59万4000人、パレスチナ難民8万9000人がIPC3以上に分類されている。これらの地域では、紛争以前2024年4-9月においてさえ、人口の23%がすでに深刻な食糧不安に直面していた。
レバノン政府と国際機関は、現状を重くみて対策を講じている。特に農業プロジェクトにおける持続可能性、透明性、信頼の重要性が強調され、紛争被害にあった農家への補償が優先される見通しである。国際機関、現地協力者らレバノンにおける農業部門の持続可能な開発を目指している。レバノン農業省、FAO、WFP連盟の同報告は、特に農業資産とインフラへの損害が甚大である点を指摘し、復興支援と回復力強化が不可欠であると結論づけている。レバノンにおける貧困と飢餓対策が求められている。
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