私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2024年08月01日
新たなるフードカルチャーの創出が貧困と飢餓の撲滅への対抗策として注目を集めている。Forbes誌にてダフネ・ユーイング・チョウ氏が語っている。同氏によれば、まず食文化の役割の認識が必要である。食料安全保障と食生活の向上には、食文化の理解、食習慣の変革を促進するために文化の役割が把握されなければならない。また世界の栄養失調問題の現実を知る必要がある。世界人口の3分の1が栄養失調に苦しんでおり、先進国も含めてすべての国が少なくとも1種類の栄養失調の問題に直面している。
また具体的にフードカルチャーの観点からいえば、肉の消費量が増加していることが指摘できる。世界の肉の消費量は過去20年間で2倍以上に増加し、2018年には3億2000万トンに到達。肉消費はカロリー供給の18%に過ぎないが、畜産部門は農地の77%を占め、温室効果ガス排出量の60%以上を占めている。気候変動と無縁ではない。それゆえファストフード市場の成長は一考を要する。世界のファストフード市場は2028年までに1兆4670億4000万ドルに成長し、年平均成長率(CAGR)が6%を超えると予測されている。
このような現状を踏まえて食品文化についての国際的で官民横断的な取り組みが必要になる。その試みの一つが食Food Culture Alliance(FCA=食品文化同盟)である。
FCAは、文化が食にどのように関係するかを考える。食文化こそ、地域ごとの歴史、信念や習慣、需要に大きな影響を与え、食料安全保障においても重要な役割を果たすからだ。食文化は食の好み、農業実践、地域の食料システムに影響を与えているのだ。
それゆえ食文化を考えることは、食糧安全保障の柱である。食糧安全保障には入手可能性、入手経路、利用の三点が重要なポイントであるが、これらの連関に各地の食文化は深く関わっている。各地域の食文化を再評価することは、過剰に加工された食品利用を抑制することにもなる。超加工食品は栄養価が低く、栄養確保に苦労する原因となっている。
この点、FCAは変革のてことなることを目指す。食文化を再評価しながら、その文化を変革するためには「食と文化」をめぐる物語の形成、社会的アイデンティティ、文化的な信念体系の変更、料理に関わる慣習の修正と強化が含まれる。
これらを踏まえてFCAは、ケニア、インド、インドネシアなどで若者や地域団体と協力し、持続可能な食品の嗜好への移行を促進している。この食料システムの柔軟性と回復力を高める試みは、貧困と飢餓の撲滅につながるアクションである。
Image by Pete Linforth from Pixabay
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