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世界の飢餓ニュース

私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。

FAOとWFP/2023年の展望

紛争、経済的ショック、異常気象、肥料価格の高騰により、かつてない食糧危機が人々を「貧困と飢餓」に追い込んでいる。世界食糧農業機関(FAO)によれば、全世界8億2,800万人が、いつ次の食事にありつけるか分からない状況にある。人命を守るためには、いま行動し、食料安全保障の安定性を確立する必要がある。
 2021年、致命的なレベルで貧困と飢餓に直面している2億8,700万人は、現在79カ国3億4,900万人へと増加した。COVID-19パンデミック以前と比較すると、ほぼ倍増とみてよい悪化である。そのうち約90万人は飢饉に直面している。
この数字は5年前の10倍となっており、早急な対応が必要となる。国際社会は、2030年までに飢餓と栄養失調を終わらせる約束を反故にはできない。
 国連世界食糧計画(WFP)によれば、このような深刻な飢餓と飢饉に苦しむ人々は増加の一途をたどっており資金は追い付ていない。食料も燃料も価格上昇しており、食料支援のための必要経費は過去最高値を叩き出している。このままでは人命を失い、その人々が暮らすために為された持続可能な開発もまた無駄になりかねない。
現状の破局的な飢餓危機の要因はいくつかある。第一に、紛争は依然として飢餓の最大要因である。飢餓に苦しむ人々の60%は、戦争が頻発し、暴力の絶えない地域に居住している。ロシアによるウクライナ侵攻は、紛争がいかに飢餓を助長するかの証明となっている。人々は家から追い出され、収入源を失い、国の経済が崩壊し、地域社会とインフラが破壊された。
 第二に、気候変動による環境の危機は、飢餓急増の主たる原因である。人々の生活、作物、生計手段は破壊され、自活していく能力と環境を弱体化させる。飢餓が制御不能となる前に気候変動対策を取らねばならない。
第三に資源コストの増加が大きな問題となっている。現在、肥料価格は10年ぶりの高値を維持している。肥料価格の高騰はトウモロコシ、米、大豆、小麦の減産に影響することになる。
 WFPの毎月運用コストは、2019年平均値の44%増しとなっている。このコストは400万人の雇用1カ月分に相当する。ナイジェリア、南スーダン、イエメンなどの国々では、すでに、より多くの人々に届けるために配給量の削減が始まっている。飢えた人々を養うために飢えた人々から奪う結果となっている。状況は予断を許さない。

(写真)Image by $uraj tripathi from Pixabay

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