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昆虫食は食糧難を救うか

人口増加と気候変動。増え続ける人類を賄うための農業は気候変動の主たる原因である。しかし、それは同時に気候変動への解決策ともなり得る。例えば小規模農家は、環境に有害な肥料や化石燃料を動力とする機械を使用しない傾向があるためCO2排出削減の鍵となる。
 国際農業開発基金(IFAD)はCOP27(第27回・国連気候変動枠組条約締約国会議)において、米国とメタン排出などに関するパートナーシップを締結し、発展途上国の小規模農家が気候変動に適応しながら排出量削減に貢献できるように支援すると発表した。
 現状、考えられている解決策は、人間の食料、家畜の飼料として食用昆虫を生産することである。昆虫は、大量の温室効果ガスを放出することなく、タンパク質と微量栄養素の供給源となる。繁殖率も高く、ライフサイクルは短く、飼育生産に他の多く家畜のように場所や水を必要としないことが理由である。
 事実、昆虫は、少なくとも20億人にとって不可欠な食料源である。この点、いわゆる先進国は、昆虫食への再評価を模索し始めたばかりで、遅れていると言えるかもしれない。では、いかにして食の安全保障と供給システムを昆虫食込みで再構築できるのか。例えば、飼育と販売は場所と最初の投入コストさえあれば、開発途上国において貧困と飢餓にあえぐ人々でさえ、収集、飼育、加工、販売し、また食用とすることも可能となる。
 食用昆虫はコオロギからセミまで2,000種類以上が数えられる。無論、昆虫を食べるだけでは気候変動を解決することはできない。しかしライフスタイルの変化は環境負荷を大幅に下げることになる。
 昆虫食で注目される点は、昆虫のタンパク質である。彼らの体重の最大80%がタンパク質で構成されており、他に微量栄養素も含まれている。これは従来の家畜の含有量を上回っている。また脂肪分、炭水化物も少なく、ビタミン、繊維、ミネラルが豊富だといえる。ミールワームは、ある種の魚類と同等の栄養評価を持っている。加えて、昆虫は、動物のように人獣共通感染症の心配がない。すでに昆虫から動物資料を生成する企業も登場している。一方、先進国において食文化を変更し、食用昆虫を生産・流通・販売するコストを考えると果たして、それが飽食状態にある先進国で効果的か否かは問われる必要がある。貧困と飢餓、食糧難に対応するための昆虫食開発は、まだ始まったばかりである。

(写真)Image by Christoph Meinersmann from Pixabay

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