私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2023年02月01日
現在ソマリアにおける貧困と飢餓は、そのまま人命の危機を意味している。ソマリアは世界食糧農業機関(FAO)の緊急人道支援の継続的対象となっている。直近の数カ月間、ソマリアは飢饉の瀬戸際にあった。食糧と水の価格高騰、紛争、公衆衛生、医療サービスへのアクセス途絶、あらゆる問題が「貧困と飢餓」を加速させている。特に5年続く干ばつの影響は甚大なものとなっている。
2023年1月から3月の期間において、ソマリア全土で500万人近くが食糧不安に直面している。特に9.6万人が壊滅的な飢餓に直面しており、4月から6月にかけて、全人口の3割にあたる約650 万人が同様の危機に直面すると予測される。そのうち22.3万人は生命の危機に瀕することになる。また一部地域においては飢餓を越えて「飢饉」が発生するとみられている。
FAOはソマリア飢饉防止拡大計画(2022年5月~2023年6月)資金の68%相当を用いて、対象の約240万人中の47%へ緊急支援を開始。しかし、これはまだ半数にも満たない数値である。
現状、疲弊し切った支援対象世帯は貧困、避難、子どもの栄養失調に圧迫されており、人命損失も経験している。特に農村部への甚大な被害とそれをもたらす構造的悪循環を変えるために、持続可能な水と食料の安全保障が求められている。
「アフリカの角」と呼ばれる地域において干ばつ、蝗害は近年悪化の一途をたどるが、さらに食糧と人件費の高騰が、これらの緊急支援対策への妨げとなっている。しかし現況においては、もはやビジネスとして利益を得ることよりも、まずは人命救助のために行動を起こす段階となっている。深刻な干ばつ被害による貧困と飢餓の加速、大規模な飢饉の発生が、まかり間違えば一歩先の現実となるからだ。
ソマリアに住む数百万人の人々への災害支援のためには、インフラ投資と政策提言を抜本的に改革しなくてはならない。またそのためには、支援策の予算規模を大幅に拡大せざるを得ない。ソマリアのみならず、東アフリカ諸国の人々の持続可能な未来は、同国の農家への支援、その脆弱性の克服、彼らを襲う「貧困と飢餓」の撲滅の先に待っている。
NomadPSによるPixabayからの画像