私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2022年07月01日
アフリカのチャド中部において「移住」は伝統的な生活形態だ。牧畜民は乾季が来れば、チャド湖周辺や南部の湿地へと向かい牧草地を開拓してきた。雨が降れば、牛を売るために国境地域へと向かうものだった。しかし現在、国境は武装集団に封鎖されており、「移住」には危険と困難が伴う。
さらに気候変動による不安定な乾季と雨季が、チャドの伝統的な生き方を脅かしている。結果、牧草地をめぐり衝突が多発するため、仕事を失った多くの人々がチャド北部の鉱山地帯での仕事を考えるようになる。金の採掘地帯である北部は、半ば無法地帯ともなっている。したがって鉱山仕事は搾取そのものであり、さらなる貧困へと追い詰められる可能性がある。たとえば人身売買業者や武装集団は、隣国リビアへ安い労働力として北部へ来た人々を販売している。
毎月両親に送金しても石けん数個を購入できるだけ。二十数名でトラックに乗せられて食事は1日に1回きり、人身売買業者は警察と連携しているケースも報告されている。
国連世界食糧計画(WFP)は、このようなチャドの人々に対して、鉱山へ向かうのではなく現在の居住地域に留まるように勧めている。WFPは約1600万人の人口を誇るチャドの人々のうち、約240 万人に人道支援を行っている。
他国と同様、このような飢餓、栄養失調、犯罪に巻き込まれているチャドの人々もまたパンデミックの混乱に見舞われ、致命的な影響を受けている。
WFPはこの現状を打破するため、さらに支援を強化中だ。2020年度、WFPは同国9州にまたがる8.4万人へ移住することなく、かつ持続可能な生活を促進できるように支援を行った。たとえば、西部のオアシス地域では移住することなく、トウモロコシなどの収穫物を女性が毎週、市場で販売して生活できるような取り組みを行っている。
チャドにおける「貧困と飢餓」は気候変動のみならず、社会の情勢不安も含む複雑な背景がある。これらの問題に取り組むことが、チャドにおける「貧困と飢餓の撲滅」への第一歩となる。
Photo by Martino Pietropoli on Unsplash
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