私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2022年04月13日
ミハイル・ボジアヌ氏はモルドバを代表する養蜂農家である。「11歳のころは何もありませんでしたが二つの巣箱から始めました。高校を卒業した日、43歳になっていました」と語る。現在、ミンジル村に住むミハイル氏は1200個のハチの巣を管理する。国際的に表彰されたこともある。そんな彼にとって「ハチの巣」は「液体の金」を生産してくれるものだ。
彼の養蜂産業は静かな森の環境に依存している。6ヘクタールに及ぶ斜面に生い茂る木々と下草の間で静かにハチたちが賑わっている。しかし、この斜面はかつては不毛の地でありゴミ捨て場だった。また過去には何度も地滑りが発生していた。しかし今では遠い記憶である。
この劇的な変化は、国連農業開発基金(IFAD)とミハイル氏の協力によってもたらされた。IFADの主力ASAPイニシアチブを介して「地域柔軟性計画(Rural Resilience Project:RRP)」よりミハイル氏は養蜂産業のために防風林設置の助成金を得たのだ。
防風林は、荒廃した土地を、多様な在来樹木や植物の慎重に管理された森林に変える伝統的な技術である。土壌侵食を減らし、水資源を保護し、嵐による被害から保護し、防風壁として機能し、さらには土壌の炭素を確保する。つまり、極端な気象現象を含む気候変動による影響から農村コミュニティを守るのに重要な役割を果たす。結果、ミハイル氏のように農地の安定、産業の安定が地域の経済活性化をもたらし、まさに「貧困と飢餓」に対する防風障壁となる。
モルドバの林業機関研究所ICASは、ミハイル氏と年間を通じて生い茂るさまざまな樹木を選び、植樹した。リンデン、マハレブチェリー、コーネリアンチェリー、そして成長が速く、ミツバチが大好きなアカシアである。結果、同氏の養蜂産業はいま若者への雇用機会さえ提供している。このように気候変動に対応し得る、持続可能な環境開発が、地域経済を活性化し貧困リスクを低減し、飢餓を排除するのである。ミハイル氏の好事例はモルドバ農村部にとって新たな実例として注目を集めている。
2021年までに42の森林回復計画を作成され、2000世帯が所有する土地に500ヘクタール以上の保護用防風林と牧草地が確立された。進行中のRRPプロジェクトは、続けて小規模農家に200ヘクタールの防風林を設立するために助成金を提供する予定となっている。モルドバの防風林、それは「貧困と飢餓」と戦う人々の象徴でもある。
Michael StrobelによるPixabayからの画像
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