私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2022年03月31日
ともに食卓にあずかること――食料を共有し分かち合うことは、古今東西の宗教にとって本質的である。たとえば、世界最大の宗教キリスト教では「主の晩餐」が、信仰の恵みだけでなく食事もまた共有することを覚える儀式となっている。イスラム教のクルアーンにおいては貧しい人々を養うことが楽園の継承へとつながる。ヒンズー教には、食事を寄付する者には永遠の幸福が訪れるように、といった意味の諺もある。無論、各宗教には「食べない」ことを選ぶ断食の伝統もある。しかし、それら断食の伝統でさえ、人々の「貧困と飢餓」の防止には賛成している。
現在までに数多の宗教コミュニティ、教会や寺社仏閣などを中心にした任意の諸団体が、それぞれの信仰に基づいて人道支援に貢献してきた。信仰に基づいて「貧困と飢餓」と戦う諸団体は多くあるが、以下その一部を紹介する。
キリスト教
Bread for the world(世界にパンを!)
ブレッド・フォー・ザ・ワールドは、米国発のキリスト教系の運動体。同団体は飢餓を終わらせるために、食品と農業の問題を中心に毎年キャンペーンを行っている。また適切な栄養ある食事を人々が摂れるよう、米国議会への積極的働きかけなども行っている。
Catholic Relief Services (CRS:カトリック救援事業会)
米国のカトリック国際人道支援団体。小規模農家が災害や戦争から立ち直れるように支援。現在までに51ケ国124プロジェクトに参与。約2,300万米ドルを計上し世界中の約500万の事業者を支援してきた。
ユダヤ教
Hazon(ハゾン研究所)
ユダヤ人研究所ハゾンは「持続可能性」に焦点をあてた研究を進めている。ユダヤ人のみならず全人類が健康に過ごすために必要な環境を目指す。農民支援も行い、シナゴーグでのマーケット主催など地域貢献も果たす。また地産地消などの食育にも参与している。
Masbia(マスビア)
マスビアはユダヤ人NGO。米国ニューヨーク市の貧困者対策・炊き出しネットワークである。宗教的な食物規定に基づく食事を提供する。ボランティアによる無料レストランを三カ所運営。また週ごとに食事に不安のある世帯に食料品を提供している。
イスラム教
Aga Khan Foundation (AKF:アガカーン財団)
アガカーン財団(AKF)はスイスに本部を設置するイスラム系援助団体。アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなど19ケ国で活動中。イスラム教倫理に従い、不平等を減らし、食の安全保障を高めるためにインフラ整備、土地管理、生産と物流に関する技術支援などを含む総合的・包括的なサポートを提供する。
Muslims Against Hunger(飢餓と戦うムスリム)
北米、ハイチ、インドとパキスタン、アフリカのナイジェリア、アジアのフィリピンにおいて飢餓問題支援を行うムスリム・ネットワーク。運営は5,000人以上のボランティアによる。志願者はオンライン登録可能。ホームレスになる直前の人々への集中的な支援、また高齢者の食事や体調管理を中心に支援活動を行う。
ヒンドゥー教
BAPS Charities:(Swaminarayan Sanstha sect of Hinduism:スワミナラヤンサンスタ慈善基金)
BAPSチャリティーズは、ヒンドゥー教の支援団体。米国、カナダ、ケニア、南アフリカ、インド、英国にて、特に貧困世帯の教育援助と医療福祉の改善を目的にボランティア活動中。また自然災害等による被災・低所得世帯への食糧支援事業にも参与している。
Buddhist Global Relief(BGR:仏教者世界救援会)
ブディスト・グローバル・リリーフ(BGR)は発展途上国とアメリカにおける食糧支援、貧困緩和策の提供を目的とした団体。健康で栄養ある食事、持続可能な食糧生産と流通・促進を目的にアジア、アフリカ、ラテンアメリカ等の病院、学校での給食提供、妊婦、乳幼児、子供の栄養改善プログラムの実施・訓練提供を行う。
シーク教
Khalsa Aid(カルサエイド)
カルサエイドはシーク教による援助組織。1999年以来、世界中の災害および戦争地帯で緊急の食料と水の供給を提供してきた。イエメン内戦、中東難民、ミャンマーのロヒンギャ問題、ネパール、オーストラリア、カリブ海の自然災害被害者を支援している。米国では貧困世帯のために食堂も運営している。
Devon BreenによるPixabayからの画像