私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2021年12月14日
国際連合は、世界食糧農業機関(FAO)2021年度報告を通じ、今後さらに10億を超える人々が「貧困と飢餓」に直面する危機がある、と警告した。これらの人々の多くはすでに「健康的な食事」を欠いており、COVID-19の世界的影響により状況の悪化が見込まれる。事実、世界人口の約40%にあたる約30億人が健康的な食生活を送る余裕がない。今回のパンデミックのように予測不可能な出来事によって収入が3分の1減少しただけで、約10億人が「飢餓」にさらされる。FAO報告は、より強靭で柔軟性ある食糧供給システムの構築の必要性を訴えた。
現在、食糧生産物、また非食用農産物の生産とその貯蔵、加工、輸送、流通、消費に関する社会システムは年間110億トンの食品を生産している。また数十億人の雇用に関係している。今回のパンデミックにおける流通システムの断絶は、約8億4500万人の食料価格上昇に影響する可能性がある。
一般に低所得国と諸地域はパンデミック以前に大きな社会的課題に直面しているが、中所得国も同様のリスクにさらされている。たとえば、ブラジルのようにある品目の総輸出額6割を一つの貿易相手に依存した状態はリスクが高い。また高所得国と見なされるオーストラリア、カナダでさえ、その食品流通の長い距離ゆえにリスクにさらされる。
このような流通システムの停滞危機を回避し、柔軟かつ強靭な供給体制を確立するためには複数の経路を確立し、経済市場を多様化する必要である。そのためにも中小・農業食品企業、協同組合の発展を支援することが必要不可欠である。供給システムへの接続性も重要だ。
「貧困と飢餓」を撲滅し、誰もが栄養ある食卓につける世界を確立するためには、現時点で脆弱な状況に置かれた人々の生活を回復し改善することが最重要課題となる。多様な収入源を得て、社会的経済的な地位を向上できる社会をグローバルに目指すことが「貧困と飢餓」の潜在的危機にある10億人への予防的措置となる。
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