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モザンビーク「種子バンク」の取り組み

国連食糧農業機関(FAO)は、この4月までに、サイクロン被害を受けたモザンビークで、農業回復のために支援を行ってきた。「イダイ被災」では600人以上が死亡し、185万人が被災。収穫期目前の洪水によって生産量半減、伝染病の蔓延、飢餓などが拡大していたが、なおも人々の取り組みは続いている。
 「干ばつに直面することもあれば、洪水に見舞われることもあります」――モザンビークの小規模農家の言葉だ。彼らは被災によって食糧と収入源を失うだけでなく、畑まで失うこともある。農家は文字通り一からやり直しを迫られる。そのような状況下で、オーストリア開発協力機構からの資金提供、またFAOの支援によって、ファーマーフィールドスクール(FFS)と「種子バンク」設立の試みが注目を集めている。農業生産にとって逆風吹くときにも使用可能な種子を収集・保管することが目的だ。
 特定の土壌に最適で強靭な品種の特定は、伝統的な知恵と試行錯誤が求められたが、FFSと種子バンクはそれを技術開発によって克服した。種子バンクは、害虫や病気から遮断され、安全性が確保されている。農家は時期作付けシーズンに向け、また被災時などの緊急時のために、種子バンクを使用することができる。気候変動による異常気象下において、またそれによる「貧困と飢餓」の進む状況において、ますます種子バンクの役割に期待が集まっている。
 種子バンクへのアクセスは、村落共同体、農家らの合意を通じてのみ許可される。まず作付けする農家を守らなくてはならないからだ。また種子は近隣コミュニティの農家に販売することも許されている。現在、トウモロコシ、インゲンマメ、ササゲ、ピーナッツ、カボチャ、キュウリ、ゴマなどの種子が貯蓄されている。そして「種子バンク」経営に女性が関わることで、女性と子どもの「貧困と飢餓」が解消されることになる。
 事実、ベリタさんは、モザンビークのソファラ州チェンバ地区「種子バンク」の共同マネージャーを務めている。彼女は2018年にFFSへ参加し、学び、経験を積み、自分たちの地域のために新たに「種子バンク」を設立した。このように過去3年間、オーストラリア開発協力機構とFAOは80超のFFSと協力し、モザンビーク中心部のソファラ州とマニカ州で、10の種子バンク(2,800人以上)を設立している。「貧困と飢餓」の撲滅には、持続可能な開発と地域に適合した手法の確立が求められている。

Image by Pezibear from Pixabay

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