私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2021年08月02日
国連農業食糧機関(FAO)は、農家や食品生産に従事する人々のために、COVID-19感染リスク軽減を支援するガイドラインを発表した。同ガイドラインは、食品安全に関するポリシーとして英語、アラビア語、フランス語、スペイン語で公開されている。
食品生産とその流通は人々の暮らしにとって必要不可欠なサービスだ。しかし、事実として市場や加工施設が「COVID-19感染の拡大ハブ」となった事例も多い。このような状況を受けて、アメリカ国際開発庁(USAID)や同・人道支援局(BHA)がガイドライン策定に資金を提供した。2021年6月30日、同ガイドライン・プロジェクトがオンライン・セミナーを開催。食品流通業界や企業などに向けて、労働者の安全と衛生に焦点を当て、意識の向上、感染リスクの軽減を促している。同プロジェクトは、FAOの複数部門と連携しながら、以下の点を強調する。
1. 動物または動物由来の食品がウイルスの感染源である可能性について証拠はない。感染はあくまで人間経由である。
2. 食品に関する防疫措置は、食中毒、新規感染症の出現を防ぐことになる。
3. 野生動物の加工製品も合法的な安全基準と取扱方法に従うべきである。
鶏、アヒル、家禽、豚、牛、ラクダ、馬、羊、山羊、ウサギ、モルモット、魚など、あらゆる動物が病原体キャリアとなる可能性があり、それらの動物との接触は食品汚染の可能性を引き起こす。また、汚染された機器の表面など、食品を扱う環境は適切に清掃されなくてはならない。感染予防措置が重要であることは言うまでもない。
実際、世界各地でパンデミックによる消費の縮小、流通の停滞などにより失業は増加し、それが新たな「貧困と飢餓」を生み出す原因となっている。この状況は発展途上国も先進国も変わらない。したがって継続的な食品生産者の感染リスク軽減と徹底した衛生管理は、人類全体にとって「食の安全保障」の基礎となる。現在、食品・流通業界で仕事をしている人々が失業しないこと、それは「貧困と飢餓」の撲滅のために決定的に重要なことである。
なおガイドライン英語版は以下サイトよりダウンロードできる。
http://www.fao.org/3/ca8623en/ca8623en.pdf
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