私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2021年07月01日
世界食糧計画(WFP)は、マダガスカル南部において毎月7万5千人に食糧支援を行っている。1981年以来、最悪の干ばつ被害において多くの人々が、さらなる「貧困と飢餓」に直面している。わずかな収穫物も虫害によって消尽し絶望的な状況となっている。
辺境の村へとつながる道路の多くはすでに瓦解しており、村の子どもたちの膨らんだ腹部は、典型的な飢餓状態を示している。彼らは走り回ることも互いに遊ぶこともなく、ただ座っている。ある母親は、食用でない植物を煮込み粘土を加えて子どもたちに食べさせた。とにかく何かで腹を満たしてやりたかったからだ。このような栄養価ゼロの食事によって、多くの子どもは、もはやスプーンを持ち上げる体力もない。低体重症、深刻な栄養失調状態にある人々の状況は、今後半年でさらに悪化する見込みとなっている。
2019年以来、本来は雨季である時期に干ばつに見舞われた人々は、イナゴ、生の赤いサボテンの果実、野生の葉を食べざるを得ない状態となった。すでに飲料水さえ入手困難な地域も出ており、もっとも被害の大きな地域では人口の4割にあたる約113万人が急性栄養失調状態にある。
結果、社会と家庭において弱者となる子どもは、大人たちの自暴自棄によって、児童虐待や性被害にあっている。このような辺境地域の状況から逃れるために、多くの世帯は都市部への避難を試みているが、今度は彼らを反社会的組織による犯罪被害、また蔓延するCOVID-19の脅威にさらされている。
2021年1月以来、約73.6万人以上が、食糧と生計支援を受けており、11万人以上が飲料水を確保してきたが、状況の改善には遠い。人道支援を再開するにせよ、資金不足、コロナ禍による物流の停滞など、課題は多い。「貧困と飢餓の撲滅」のためには資金と人手が必要だが、気候変動と疫病による経済的・社会的な衝撃が、マダガスカルの子どもを追い詰めている。
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