私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2020年11月16日
国際食糧政策研究所(IFPRI)は1975年の設立以来、発展途上国の貧困と飢餓を撲滅し、栄養失調を改善し続けるために、研究に基づいた政策を提案している。現在、50か国以上、600人を超えるスタッフが持続可能な開発を目指し、農業研究などに従事している。
IFPRIは「飢餓と栄養失調のない世界」を目標として掲げ、グローバルにも地域的にも、国際社会は「食の安全保障」に関して根本的変革が必要である、という。IFPRIは、特に以下5点を戦略的研究分野とする団体だ。
①気候に強く、持続可能な食料供給の促進
②すべての人への健康的食事と栄養促進
③包括的で効率的な市場、貿易システム、および食品産業の構築
④農業および農村経済の変革
⑤制度とガバナンスの強化
これらの分野における貢献は、食料政策研究の需要に応じたものであり、各国が主導する開発への総合的支援となっている。例えば、農業経済学者ヴィヴィアン・ホフマン氏(IFPRI研究員)は2019年11月27日、比較的所得の低い国々における食中毒の健康的脅威について、国際社会に呼びかけている。なぜなら食品の安全性は、そのまま健康と経済に直結する問題だからだ。
ホフマン氏によれば、食品媒介性疾患は、マラリアや結核に匹敵する世界的な健康負担をもたらす。同時に、食物システムは、食物の育成、輸送、包装、販売、調理に関する人々の雇用に関わる。食品の安全性の定義によって、人々の雇用を奪う可能性があることも念頭にいれるべきだと主張する。すなわち、企業経営と競争社会における「価値連鎖」と「食の安全保障」は、本当に両立できるか否か、問われているという。
「価値連鎖:バリューチェーン」とは、経営学などの概念で、二つの活動を指示している。主活動は購買物流、製造、出荷物流、マーケティング・販売、サービスであり、支援活動は企業インフラ、人材資源管理、技術開発、調達である。営利企業の本質が、購買した原材料等に対して、各プロセスにて価値を付加することにあると、する説だ。営利企業と「食の安全保障」のバランスを見出せる地点から、貧困と飢餓の撲滅が始まる。