私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2020年10月15日
「アラビア半島の最貧国」と呼ばれるイエメンの内戦について、国連(UN)は「世界最悪の人道危機」と認定している。国連児童基金(UNICEF)は、資金不足ゆえに、イエメンで子ども数百万人が飢餓に直面していると発表。
2015年1月以来の「イエメン内戦」は、ハーディ暫定政権に対しクーデターを狙った勢力が首都サナを掌握し、サウジ主導の軍事連合がこれを制圧しようとして始まった。イランとサウジの代理戦争となったイエメン内戦は、死者1万人、数百万人を飢餓に追い込み、「世界最悪の人道危機」として知られるようになった。
この状況下で、イエメンの子どもたちは前例のない率で急性栄養失調に苦しんでいる。「食料不安」指標の世界基準であるIPC(総合的食料安全保障レベル分類)によれば、イエメンの一部地域では4人に1人以上の子どもたちが急性栄養失調に陥っていることになる。このIPC分析は、今までイエメン南部を対象としていたが、今後予定されている北部地域の分析でも同様の懸念すべき傾向が示されると予想されている。
世界食糧計画(WFP)代表トムソン・フィリ氏は、IPC予測では、2020年末までに、分析地域の人口の40%、約320万人が深刻な食糧不安に陥ると指摘する。「実際、食糧価格は急上昇し、現在では紛争前の平均よりも140%も高くなっている。最も弱い立場にある人々にとっては、わずかな食料価格の上昇でも絶対的で壊滅的な打撃を受けることになる」
イエメン人口の80%(2400万人以上、約1220万人の子どもを含む)が何らかの形での人道支援と保護を必要としている。これはイエメンを構成する333地区のうち230地区(69%)が飢饉の危険にさらされていることを意味する。このような「世界最悪の人道危機」においてもなお、人道支援の活動は継続している。しかし、国連(UN)によれば資金調達は課題となっている。いまだ2020年に必要とされる32億ドルのうち14億ドルだけしか達成されていない。
写真=国連人道問題調整事務所(UNOCHA)Twitterより