私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2020年08月25日
極めて深刻な「蝗害」被害に見舞われている東アフリカ地域において、さらに被害は悪化している。加えてパンデミック、豪雨の影響で、同地域の食糧安全保障は極めて脆弱なものとなっている。
●国連食糧農業機関(FAO)東アフリカ地域を管轄するシリル・フェラン氏が見解
ケニアでの被害地域は一旦終息したものの、これから2020年末に向けて再度爆発的に発生する可能性がある。
一方、エチオピアでは第2世代の繁殖が続いている。とくにイエメンから到達した新たな群が脅威となっている。駆除に全力を注いでいるが、年内に終わる見通しは立っていない。他方、ソマリアでは、社会的治安の問題を抱えているにもかかわらず、駆除は進んでいる。
しかしソマリア北部、スーダン、エリトリア西部での繁殖が予想されている。またイエメンと南西アジアにおける被害は懸念材料となっている。しかし、甚大な被害を受けた東アフリカ諸国においては、当初、専門知識皆無の段階だった多くの地域で駆除が進んでいる。
シリル氏によれば、文字通り、毎日の監視・防除によって、この1月初旬から6月末にかけて約60万ヘクタール、推定4000億匹以上を駆除・制圧した。しかし、依然、課題は残っている。サバクトビバッタの移動は1日に150kmを超える。駆除するためには、これに先回りする形で、人的・経済的資源を絶え間なく投入しなくてはならない。また、COVID-19の影響により、駆除チームの訓練にも影響が出ている。例えば、ケニア政府はCOVID-19を国家的優先事項と宣言しており、夜間外出禁止令が発令されている。それゆえ、駆除チームの活動時間数は減少してしまう。
FAOの報告によれば、幸い、2月に出現した第1世代のバッタについては、エチオピアとケニアでは駆除に成功した。しかし、繁殖を防がなくては、続けてあらゆる地域の農作物と畜産業、また人々の暮らしに被害が出てしまう。例えば、駆除に成功しても被害地域においては雨季を迎えても牧草地が広がらない、家畜の体調不良などの異常が報告されている。