2020年04月10日
イエメンにおける貧困と飢餓、そして病死のリスク
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、100万人近いイエメンの難民の危機的状況を訴えている。UNHCR広報によれば、2020年4月時点で、大雨と洪水により、イエメン第二の都市アデンの避難民に深刻な被害が出ている。
「世界最大の人道危機」とも言われ、約100万人を超える人々が難民化し、避難所、食料、薬品、医療物資、また生活必需品、当面の現金支援のみならず、UNHCRなど国際機関からの援助を失う可能性がある。救援プログラム継続のためには、総額8,940万ドル(USD)が必要であり、各国よりの緊急財政出動が求められる。
イエメンは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック以前より、洪水と集中豪雨によって、多くの人々が非衛生的な環境に置かれていた。特に、同国アデン、アビアン、ラージ、マリブ、サナア、アマナトアルアセマなどの各地域での被害は、パンデミックによって、さらに深刻化している。加えて2015年以来、イエメンでは360万人以上が紛争によって自宅を失い、難民化、家からの避難を余儀なくされていると推定される。同様に、国内避難民はシリア、コロンビア、コンゴにおいて見られ、国内避難民監視センター(IDMC)によれば、2019年には約40万人増加したと推定される。
イエメンに対する継続支援が不可能な場合、65.5万人がパンデミック下に放置され、約28万人が必要な食糧も薬品も、屋根さえも手に入れることなく、貧困と飢餓の先で、ただ病死を待つだけになる。イエメンにおけるCOVID-19は同国南部で確認されたが、そもそもの劣悪な衛生状態と医療施設の不足、さらに貧困と飢餓の常態化が明らかな原因と見られている。難民の増加は、確実に感染リスクを上昇させることになる。
すでに5年間に及ぶ紛争は、イエメンを荒廃させており、総人口の80%以上が何かしらの形で、国際社会の支援を必要としている。現在、一般的な人道支援に約400万人が依存。「貧困と飢餓」に加え、世界的パンデミックが、イエメンの人々をさらに追い詰めている。
© UNHCR/Essam Adduais