2020年02月10日
気候変動による食料不安の増大が「性」暴力に発展する
気候変動による食料不安の増大が「性」暴力に発展する――ウガンダからの報告
国連開発計画(UNDP)は2019年末に、ウガンダの湿地帯・農村部において、気候変動が人々の生活に壊滅的な影響を及ぼしていることを報告している。激しい降雨、長期にわたる干ばつ、高温による不作と生産量の低下が、家畜の損失を招き、飢餓と貧困をもたらしている。
しかし、気候変動リスクは「食糧安全保障」への脅威のみならず、女性のへの暴力リスクの原因ともなっている。UNDPは、この驚くべき結果を2019年末に報告。現在、アフリカ東部を蹂躙するサバクトビバッタによる蝗害がこのまま進めば、ウガンダのこの状況をさらに悪化させると見られる。
干ばつが長引けば長引くほど、女性や未成年女子が、食物と水を確保するために長距離の移動を余儀なくされる。その際、性的暴行を受けるケースがある。また、労働を申し出たにもかかわらず、食料品や飲料水との交換を条件に性交渉を求められたとの報告も相次いでいる。
加えて、家族のために食糧と水を求めて移動せざるを得ない子どもの多くが、通学困難となり、そのまま中退するケースもある。食糧と水を確保するために人身売買にも似た児童婚を強いられる家庭、また男性が出稼ぎ中であるがゆえに、食糧と水の確保が困難となっている母子などが報告されている。
減る一方の収穫量、継続的な家畜の損失、見通しの立たない収入状況に加えて、飢餓の不安が、「家庭を守る」という伝統的役割として男性へのストレスとなり、アルコール中毒になる場合も見受けられる。結果、彼らは家庭内暴力の加害者となる。
UNDPは、ウガンダの農村共同体における、これらのリスク要因とシステムを研究し、気候変動の解決が、地域の女性を守り、飢餓と貧困から人々を救う道であることを指摘している。
これらの状況を踏まえ、UNDPは10年以上、ウガンダにおいて「女性の権利保護」を訴えてきた市民運動などと連携し対応しようとしている。特に2018年から2020年までの実行を目的としており、今年度が最終段階となっている。「持続可能な開発」は、男女平等の是正、食糧の安全保障とともに、気候変動の解決にかかっている。
©UNDP Uganda