2020年02月10日
ベネズエラの食料難
世界食糧計画(WFP)は2月末、ベネズエラの経済危機によるハイパーインフレで、人口の約3分の1(900万人以上)が充分な食糧を得ておらず、「飢餓と貧困」に直面し、要支援の状態にあると報告した。
この調査は、2019年7月から9月にかけて、同国政府の要請によって行われ、「食料の安全保障」に関する基準で評価された。調査結果によれば、約59%の世帯が、食料を購入するために必要な収入がない。また約65%の家庭において衛生用品、衣服、靴など、通常の暮らしに必要な日用品を購入できない状態にある。
WFPは、8,300件のアンケート調査から、家庭および地域コミュニティごとの情報を精査し、全国規模でデータを収集。食糧の消費パターン、生活設計に関する傾向、また経済的な脆弱性を分析した。結果、全世帯の約18%から二割の家庭が、何らかの問題のある状態に分類された。また、彼らの食事が多様性に欠けており、慢性的な栄養失調状態にあると判断された。
例えば、ある家族の食卓では、毎日、穀物、根、塊茎を食べることができる。しかし、豆、レンズ豆、その他の植物性タンパク質を摂取できるのが週3日、乳製品も週4日しか食べることができない。さらに、肉、魚、卵、野菜、果物などバランスある栄養状態を保つのに必須な食品は、せいぜい週に1度か2度しか食べる機会がない。
調査対象となった世帯の74%は、食品の種類を減らし、品質の悪いものを選ばざるを得ない。約6割の家庭が、そもそも食べる量自体を減らしていると言われる。また生存のために、33%の世帯は、現金収入の代わりに食料品の現物支給を受けている。また現金収入を得るために、少ない資産の売却も止むを得ない。
WFPは、これらベネズエラの状態に対して、「食の安全保障」の水準を維持するために、多くの家庭がもはや次の手がない状態であり、短期的に栄養失調となる人々の増加が見込まれると懸念を表明。特に、子ども、妊娠中および授乳中の女性、高齢者などへの影響が深刻化する恐れがある。「貧困と飢餓」を解消するためには、持続可能な「経済」活動の構築が課題となっている。
© WFP/ Marwa Awad