2019年11月11日
IFAD 中国での取り組み
「国際農業開発基金(IFAD)」は1977年に設立された。主たる目的は、農村地帯の貧しい人々が食糧や栄養を改善し、所得を増やし、経済力を強化するための支援だ。172の加盟国から経済的・人的資源を投入して、低利子での貸し付け、無償資金を提供して農村開発を進める。
創設以来、2012年末までに、IFADは、貧困状態にある農村部4億人以上を対象にした900件以上の事業・計画に対し、148億ドルの投資を実行。受益国政府、他の金融機関は123億ドルを拠出し、その他の援助国も協調融資として別に96億ドルを拠出してきた。
1981年、IFADは中国での事業運営に資金提供を開始。IFADは、中国農村部における貧困撲滅と食料と栄養の安全性の向上に貢献できた、中国の唯一の開発パートナーでもある。初期支援は、生産の増加、資産の構築、インフラストラクチャの改善を目指し、「食料の安全性を高めること」に徹底的に投資された。次の段階が収入機会の拡大、気候変動による経済的打撃からの回復力向上を目指すこととなった。
国別戦略的機会プログラム(COSOP)は、2016~2020年の中国を対象としている。IFADと中国政府の協力関係は、同プラグラムによって再定義されることになる。関係を再定義することの目的は、二つ。一つは、協同組合、金融サービスへの支援を行うことで、より包括的に小規模な自作農の能力の向上、市場へのアクセス機会の増加を狙うことだ。またもう一つは、 環境への影響の少ない持続可能な開発、また気候に対する回復力の強化について積極的にアピールすることにある。
世界最大の人口を誇り、科学技術大国かつ工業輸出国となった中国において、この新戦略は、今までのような融資だけではない、より包括的なパートナーシップを構築することになる。あらゆる「貧困」よりも、さらに下の状態で生活していると言われる、約3000万の中国の人々の「飢餓の撲滅」に、IFADと中国政府が取り組み始めている。