私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2019年08月09日
「貧しさ」の意味するところは、単に経済的状態だけに限らない。経済的に豊かな先進国であっても健康的には「貧困」と言わざるを得ないことは多くある。たとえば米国にとって莫大な医療福祉費用は政治問題となっている。
アメリカに住む成人の約半数1億人以上が糖尿病の一歩手前、または糖尿病を罹患している。心臓や血管系の疾患に、約1億2200万人が苦しみながら、毎年約84万人(毎日約2,300人)が死んでいる。また成人の4人に3人が過体重または肥満だ。健康な人のほうが少ないのだ。
貧しい食生活が人々の「死因」となることは、先進国でも変わらない。米国では、年間50万人が食生活に起因する心臓病、脳卒中、糖尿病で亡くなっている。心臓病、脳卒中による人的損失、医療費と生産性の低下は、年間3,350億ドルに上り、糖尿病は年間3,270億ドルの損失になると言われる。また人々が「肥満」であることによる経済的損失の総額は年間1.72兆ドルになる。これは、アメリカの国内総生産9.3%に相当する。
このような現状に対して、米紙ニューヨークタイムズなどが、2020年に控えた次期大統領選挙の候補らが、食糧安全保障について認識不足であると指摘している。健康の改善、医療費削減のためには、栄養問題と真摯に向き合わざるを得ない。米国の国立栄養研究所、衛生研究所などを含む政策と予算配分が、そのまま食糧の安全保障に連動してくるからだ。食品加工、腸内微生物叢、アレルギーと自己免疫障害、癌、非栄養甘味料と個別栄養の影響など、先進国でなければできない研究も多い。
このように先進国の政府は「食の安全」について、世界的に重要な役割が期待されている。医療福祉、経済、環境、食の安全保障。これらの問題に対する一般市民や関連産業界において意識の高めるには、どのような政府を支持し作っていくのか、ということが各国の人々に求められることになる。あらゆる意味での「飢餓撲滅」のために、「食の貧困と政治」という観点から、日本の政策を具体的に見直す必要がある。