私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2019年05月07日
2019年5月20日、ローマ
スロベニアと国際養蜂協会連合の協力で国連食糧農業機関(FAO)が主催し、2年目を迎える「世界蜂の日」。「食料と農業における蜂など花粉を媒介する生物の役割認識の向上」を目的とするイベントが開催された。
ミツバチなどの世界的減少が多種多様な植物に深刻な脅威をもたらしている。各国政府が「飢餓と栄養失調」に対処し努力するよう、FAOは「国連世界蜂の日:World Bee Day」を設定している。
ミツバチなど花粉を媒介する生物は、過剰農業、単作、激化農薬の使用、気候変動による温暖化で世界的に減少している。この傾向が続けば、果物、ナッツ、多くの野菜のような栄養価の高い作物が、米、トウモロコシ、ジャガイモのような主食作物に取って代わられることになる。結果、アンバランスな栄養状態と食事が常態化する危険がある。
FAOシルバ事務局長は「ミツバチや他の受粉を担う生物の重要性を強調し、それら生物と共存できる、持続可能な食料政策とシステムに移行する必要がある」と訴えた。ローマ本部での式典には、スロベニアより、農林水産大臣、養蜂協会の会長らが参加。スロベニアは、FAOと共に、2017年の国連総会決議を通じ、国際記念日を設立した立役者でもある。
小さな生物、大きな利益
ハチ類は、植物の受粉を保持する生物である。結果、食料生産、人々の生活、生物多様性にとって極めて重要な野菜と野生植物の繁殖を確実にする。彼らは生態系を底支えする、地球上で最も複雑な生物の一つだ。蜂や鳥やコウモリなどの他の受粉を媒介する生物は、実に世界の作物生産の35%に影響を及ぼす。世界中の主要な食用作物の87の生産量、数多の植物由来の医薬品を生産に関係している。66%を超える作物が、昆虫と他の動物によって受粉し、健康的な果物と種子を生み出している。
FAOは、持続可能な農業を目指し、受粉を媒介する生物を保護するために、さまざまな活動を行っている。また最近の食料農業の世界の生物多様性報告書は、ミツバチを含む多くの種が深刻な脅威にさらされており、生物多様性の喪失が「飢餓」につながることを危惧している。
(写真キャプション)
©FAO/Zinyange Autony