私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2019年04月08日
2015年以来のイエメン内戦により、2017年8月時点で、約5万人の死傷者、200万人以上の難民化が確認されている。戦闘により水道・衛生・医療システムが破壊され、コレラなど感染症の蔓延が、深刻な問題となっている。
欧州連合(EU)は、この状況を鑑みて国連と協働し、イエメンの脆弱なインフラを整備するため、総額4,080万ドルの新拠出を決定した。たとえば、イエメンの町サナアでは、村民が支援対象である貯水池建設を手伝っている。同国の女性、失業者、青年など約73万人を幅広く3年間にわたり支援する。国連食糧農業機関(FAO)、国際労働機関(ILO)、国連開発計画(UNDP)、世界食糧計画(WFP)の共同実施プログラムでもある。
同プログラムにおいてFAOは、約37万人を支援対象とし、予算900万ドルを計上。イエメンの小規模な乳製品業者らの品質と生産量向上を目的に、品種改良された種子の提供、家畜飼料、太陽光で駆動する灌漑用ポンプなどを供給することになる。また女性の社会参画を基本的方針として、文化的障壁を考慮しながら労働のための教育と機会を提供する。農業はイエメンの栄養状況と食料安全保障にとって極めて重要な分野である。また人口の54%が農業従事者である。すなわち、イエメンにおける水と食料の安全確保こそが最も重要な課題の一つとなっている。
しかしながら、緊急支援を必要とする700万人に行き届いたケアを実施するためには、1億3500万ドルが必要となる。2018年12月の食糧安全保障に関する報告では、イエメン総人口の53%、約1600万人が飢餓状態にある。この数字は、国際社会の人道支援がなければ、やがて2000万人を超えるとみられる。
国連の関係四機関(FAO、ILO、UNDP、WFP)は、専門チームを構築し、持続可能な社会開発、安定した生活と労働、安全な衛生環境と食品へのアクセスの確保を目指す。内戦の悪影響に対抗すべく、社会的結束、食料安全保障、および生活の回復を目的に掲げ、6州(ハジャ、ホデイダ、ラジ、アビアン、テズ、サナ)において援助を実施する。
(写真クレジット)
©FAO/Soliman Ahmed/FAO