私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2018年12月01日
2018年11月2日、共同声明バンコク/ローマ
アジア太平洋地域は、世界の栄養失調人口の過半数、約5億人(4億8600万人)を占める。最近年の報告は、飢餓は世界的に増加傾向にあるが、10年前と比較すると、アジア太平洋地域における飢餓と栄養失調の改善停滞は大きな懸念事項だと指摘している。
世界の栄養失調状態にある子どもの半数以上が暮らすアジア太平洋域では、5歳未満の4人に1人にあたる7900万人の子どもが発作に苦しみ、3,400万人の子どもが消耗性疾患にかかり、1,200万人が深刻な急性栄養失調に瀕している。発作の減少には進歩が見られたが、過去10年間、消耗性疾患の改善はほとんどなかった。
アジア太平洋地域では、気候関連の災害の発生が増加している。自然災害は、食料安全保障と栄養状態に直接に影響し、経済的および農業的損失を引き起こす。災害は、短期的には資産や農村インフラの喪失や疾病発生の増加を招く。最近のFAO推計によれば、アジアでは2005年から2015年の間に400億米ドルという驚異的な損失を被った。
現在、アジア太平洋地域は、小児肥満が世界で最も急速に拡大する地域でもある。過体重児の数は急速に増加しており、将来の健康へ深刻な影響が予見されている。5歳未満で推定1,450万人の子どもが太りすぎで、塩分、糖分、脂肪分の摂取過多であるにもかかわらず、必須栄養素の不足している加工食品にさらされている。
食料安全保障を達成し、母子の健康と福祉を改善するために、アジア太平洋諸国を支援する四つの国連機関が共同報告書を発表したのは初のことであり、事態の深刻さを示している。共同報告は「世界で最も人口の多いアジア太平洋地域が先導しなければ、世界は2030年のゼロ飢餓目標を達成できないことは明らかだ。物事を変えるという決意を固めなければならない」と強調している。