私たちの知らないところで起きている飢餓問題の現状を知ろう。
2018年11月05日
現在、30カ国で基本的人権として十分な食料を明白に認め、全人類を養うに十分な食糧があるにもかかわらず、約8億2100万人が栄養失調状態にある。食糧の安全保障、これを達成するためには、各国政府、企業など利害関係者を含む方策が必要であり、予算化とモニタリング、法整備とその持続が求められる。そのために必要な10のアイデアを紹介しよう。
1.飢餓と栄養失調を終わらせるための方針を導く原則を確立する。
憲法に「食糧の権利」を含め、政府方針とする。憲法に人権として食糧を明記する国々には、南アフリカ、フィリピン、ウクライナ、ジンバブエ、エジプト、フィジー、ガイアナなどがある。2015年、ネパールは国連食糧農業機関の支援を受けて、憲法にこの権利を追加した。
政策立法者は実施機関を監督・認可・批判すべきであり、彼らのアカウンタビリティのために質疑応答、予算承認委員会、選考委員会などを設置できる。例えばホンジュラスの実施機関は、農村女性への財政的信用を拡大するために、政府への年次報告義務がある。
食糧と栄養の安全確保のためには、小規模農家、牧畜業者、漁業関係者の需用を理解し、食糧供給システムの脆弱な点を社会的に保障し支援が必要である。例えばボリビアにおける学校給食法は、その成功例と言える。
政策立法のためには、問題を理解し、施策の影響を測らねばならない。従って、食糧の権利に関する法知識、公共政策の起草、実施、監督に関して、学術的知見を活用する必要がある。スペイン、オビエド大学世界食糧ガバナンス研究センターは、その先駆と言える。
法が施行され遵守されるためには、政治的意思だけでなく、参加型ガバナンスが必要である。政策立案と施行に関わる議員は、社会のあらゆる分野から知見を得て、食糧と栄養関連分野で働く人々との対話に開かれているべきである。チリの食品表示法は、反対者と協議しながら肥満予防を目指して立案施行された。
政策立案する議員は、食糧と栄養の安全に関して、適切な技術的根拠を持たなければならない。専門家が主導するワークショップ、訓練に参加することが望ましい。2016年、アフリカ・トーゴと国連食糧農業機関が行った共同事例がある。
議員は、公共政策の進展と進捗について経験を共有すべきである。ハイチの飢餓対策のために同国議員は、ルワンダを視察して議員と市民社会代表者と会合して知見を共有した。
政策立案した議員は、法律の成立と結果を市民に説明し、問題の所在を明らかにする必要がある。情報共有は、透明性と説明責任を促進し、飢餓に関する問題と権利を明らかにする。エルサルバドルやトーゴでは、ラジオや報道で食糧の権利が促進されている。
持続可能な開発プログラムの成否は、政府、民間企業、市民社会が、栄養失調の改善という共通の目的を持つ必要がある。これは主義・主張の差異を克服することを意味する。日本、スペイン、フィリピン、マダガスカルは、食糧と飢餓の撲滅に関心を持つ提携関係の拠点である。
飢餓の根絶が、世界の政治的優先事項となるためには、全利害関係者が集まり、将来像を共有することが不可欠となる。これは、国際フォーラムに積極的に参加し、地域の機関と協力し、対話に開かれている議員によって達成される。例えばアジア、アフリカ、中南米、カリブ海地域の議員たちは、飢餓の根絶のために「飢餓と栄養失調に関する地球議会サミット(スペイン・マドリード 10月29-30日)」に参加した。
「飢餓と栄養失調に関する地球議会サミット」
スペイン・マドリード
Ten contributions parliamentarians can make towards achieving a #ZeroHunger world抄訳 http://www.fao.org/fao-stories/article/en/c/1159387/