ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2024年07月12日
被災地の道路状況は改善してきており、ハンガーゼロの拠点かほく市高松から輪島までの70数㎞の道程は、損壊が激しい箇所での徐行はあるものの2時間ほどで到着。地元の方によると県外からの工事や警察車両が減少したとのこと。このことは被災地における復興の現状、すなわちお金・モノ・人(ボランティアを含めて)の動きの鈍化を示すようでもあります。6月11、12日に輪島と志賀町を訪れ、見てきた活動の実際を報告します。(広報・鶴浦)
11日は輪島で活動中の重機チームリーダーの川地正寛さん(広島市の工務店代表)の現場を訪ねました。重機チームは、能登ヘルプに協力する「キリスト全国災害ネット」が派遣。その費用(月350円以上)を能登ヘルプや協力団体もサポートしています。ハンガーゼロは4月分を全額負担しました。重機チームはこの費用で活動を請け負い、被災者に全て無償で作業を行っています。
重機チーム=解体作業を連想しがちですが、チームの役割の柱は「大切なモノの取り出し」です。取り出すモノは、個人宅であれば貴重品類、会社関係であれば出荷前商品や工作機械、職人の道具類など被災者にとって「大切なモノ」は様々です。その取り出し過程で人や重機の安全な作業のために、崩れた建物の一部を解体することは行います。また、地震で隣家(個人宅)に寄りかかっている自宅の壁の一部を撤去して欲しいという要望にも応えています。
リーダーの川地さんによると「私は大工だけど能登の現場では修復工事などは一切せずに、ただ被災者の大切なモノを出すために安全を確認しながら作業を行います」とのこと。能登には現在、広島から6人(川地氏を含む)が派遣され、金沢市に滞在しながら毎日輪島市に入り、現場により2、3チームに分かれて作業にあたっています。計画では7月末までの予定。
この日、最初に案内された「箱瀬工房」は、輪島塗で世界的なブランドにまで発展された作家、箱瀬淳一氏の工房でほぼ全壊でした。重機チームは箱瀬氏の見守る中、崩れた工房から貴重な出荷前の商品(最高で1億円ほど)と「作品よりも大切な道具」(箱瀬氏)のほどんどを取り出すことに成功しました。
重機チームと箱瀬氏をつないだのは被災者ながら能登ヘルプの一員でもある輪島聖書教会牧師の荒川康司氏(写真)です。箱崎氏は作品の海外展開をしていくために荒川氏の教会で英語を学ばれ、その中で親交を温められました。この箱瀬工房での取り出し作業は「輪島塗」の業者間ですぐに広がり、また別の現場での作業がNHK報道でも紹介されて重機チームへの活動要請が増えていきました。「これまでに90件近くで取り出し作業をしてきましたが、失敗したことは一度もありません」(川地氏)とのことです。
荒川氏は「能登の経済的な復興を考える上で、輪島塗に携わる人のトップ(経営者)の復興(事業再建の足がかり)をまず助けないと、その下で百を超える分業体制でそれぞれ工程を担う職員さんたちは廃業せざるを得なくなります。だから能登ヘルプとしての重機チームの活動は輪島全体の復興にもつながると考えています」と話しておられました。
この日はほかにも被災した地元の醤油工場での活動や倒壊した家屋での壁の取り壊しなども見せて頂きましたが、どこも人が入るのが困難な現場ばかりでした。被災地支援ではこのような技能系スキルのある人の役割も高くなっています。
翌12日、ハンガーゼロが申、ジェロムスタッフ、瀧浦ボランティアの派遣に始まり、早い段階から協力しているLOVE EAST(以下LE)の活動現場(志賀町)を訪れました。LEは、東日本大震災での活動を契機に生まれたグループでゴスペル音楽に携わるミュージシャン(故小坂忠、久米小百合、岩渕まことさん)ら、キリスト教の教職者らで立ち上げられました。
志賀町で最初に見た現場は「廃棄する大きな仏壇の搬出」でした。この作業はLEが連携している被災者支援の窓口の社会福祉協議会(以下社協)からの案件です。
LEの現場リーダー天野真信氏(ニューソングチャーチ東京牧師)は「LEの被災地支援は一人でも多くの被災者を助けるという使命を果たす上で地元の社協や行政との連携がもっとも重要となります」と明言。事実この日は一つの現場が終わると次の現場、また次の現場というように被災者から社協に要請されるニーズをチーム(能登ヘルプからのボランティア十数名も合流)体制で効率的にこなしていました。仏壇の廃棄を依頼された住人の方に少し声をかけると「処分してもらえるように始末はしているので全然大丈夫です。本当に助かります」とのことでした。
次の現場では、何百キロもありそうな重い灯篭の廃棄です。それを4〜6人で力を合わせて搬送用のトラックに積み込みます。危険を伴う作業ですが、天野氏の的確な状況判断と作業手順で女性ボランティアも一緒に作業をします。ハンガーゼロからLEに派遣しているボランティアの瀧浦さんもリーダーを補佐する立場で頑張っていました。処分を依頼された方は「こんな重たいものを運んでもらえるとは思っていませんでした。ここは震度7でしたので孫たちのことを考えると灯篭はもう置けないですよ」と語りながら活動の様子を夫妻で見守っておられました。
「震災後の1月中頃から被災地に入り、これまで志賀町を中心に穴水町も含めて170件以上の案件はこなしてきました。社協には、LEは被災者を最後の1件までやりますと伝えています。ただ社協では活動を7月末までで考えているようですが...」(天野氏)
震災直後は倒れたブロック塀や石垣の解体作業(重機も使用)など非常にハードな作業も続いていましたが、「羽咋市で社協ルートではないボランティアによるブロック塀の撤去で事故があり、それ以降は社協ではそうした危険が伴う作業は引き受けないことになりました。だから私たちのような技能系のボランティアも必要なのですが、ほとんどいないが現状なんです」(天野氏)そうした状況下でLEは社協の対応が難しい(実質的には石川県の指針)被災者ニーズにも積極的に応え続けています。
ハンガーゼロはLEや重機チームに資金と人材で協力をしています。皆様からの募金が、こうような被災者支援ともなっています。ぜひ続けて応援をお願いいたします。
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