ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2023年10月12日
伝統的な農法ではもう生産性が望めない、そういった地域があります。ハンガーゼロが支援している現地パートナー「FHケニア」の活動地であるマルサビット・カウンティのソロロ地域もその1つです。近年の気候変動によってソロロのような乾燥地域では、これまでの農法が通用しなくなってきています。そんな現状を打開するために、ソロロ地域でも人口密度が高く中心部にあるゴロレ集落に「コミュニティ農園」が設立されました。
コミュニティ農園プロジェクトの目標は、効果的で適正な農業についての知識向上と、食料安全保障の改善です。プロジェクトは地域住民が主体となって実施し、開始時には地域連合会(CLA)のメンバー60人(女性46人、男性14人)が「何を、どこで、どうやって」行うかを徹底的に話し合いました。農園の設置位置と管理責任グループを決定したのもこの話し合いの中でのことです。
地域連合会は、コミュニティの意思決定、地域住民の社会的・経済的に健全な暮らしの維持などにおいて重要な役割を果たす自助グループの集合体で、構成メンバーの多くは女性です。農園の管理責任を負うことが決定したジレサ連合会(Jiresa CLA)はそのうちのひとつで、傘下に15人程度の自助グループを7つ抱えています。
水の安定供給を図るための貯水池 コミュニティ農園はジレサ連合会が中心となり、地元リーダーで構成された「地域変革チーム」やFHケニアと協力をしながら設置され、運営されています。まず、ジレサ連合会のメンバー30人が研修に参加し、このプロジェクトが地域にもたらす利益やそれが食料課題の解決にいかに役立つかについて学び、実施計画を策定しました。
コミュニティ農園の周囲には頑丈な金網フェンスを設置しました。これにより人や動物の侵入を防ぐことができて農園の安全が確保できました。また、早植えのための土づくりと貯水のシステム作りをしました。この地域には雨季があるため、それに備えたのです。貯水池には180,000リットル、3基の貯水タンクには計30,000リットルを蓄えることができます。既に貯水池いっぱいの水を蓄えることができたので、雨季が終っても作物は守られるでしょう。農地には遮光ネット、あぜやなどを設置し、作物の維持・管理がしやすいように整えられました。
これら農園の設備設置を担ったのはジレサ連合会のメンバーです。メンバーたちは定期的に農場に来て設置を行い、また、植え付けのやり方や種の見分け方、害虫駆除などの基本的な技術を学びました。実地訓練を受けたメンバーたちは学んだことをそれぞれの自助グループへ持ち帰ることになっているため、知識が共有される仕組みになっています。また、農園へはソロロ地域の別の集落から訪問研修に訪れる人々がおり、学んだことを持ち帰るという動きが活発でした。訪問研修には、10以上の自助グループから合計53人(女性47人、男性6人)が参加し、知識を得た人々はそれぞれの自助グループにて自分たちのグループ農園を始めるなど、とても意欲的です。その中には、自分たちの集落で貯水池の掘削を始めているグループもあります。
実践で得た教訓を全員で共有
コミュニティ農園では、地域の人々が適切な農業技術を学べるだけでなく、実際に様々な作物が育てられています。ササゲ豆、ピーナッツ、緑豆などは、花が咲きまもなく収穫時期を迎えます。苗床では、ケール、ほうれん草、トマト、玉ねぎ、唐辛子などが発芽し、無事に定植が完了しました。定植を行う際、苗の余剰が出ました。ジレサ連合会のメンバーはその苗を販売し、それが農園にとっての最初の収入
でした。メンバー自身も苗を購入し、家族で食べるために自宅で野菜を育てています。一方で、様々な農具や種子の調達に時間がかかることや、訪問研修の時間がまだ十分には確保できていない
などの課題もあります。調達に関してはより早期に計画をたて、訪問研修に関しては定期的に行うことによって解決しようと考えられています。
このコミュニティ農園プロジェクトによって、ソロロ地域の人々に乾燥地域における適切な農法の知識が広く伝わっていっています。そして、その知識は意欲をもたらし、毎週行われる自助グループのミーティングでは、学んだことを実践してみた中での成功例や失敗から得た教訓などが共有され、メンバー全員がコミュニティ農園の恩恵を受けることができています。
2023世界食料デー特集はこちらから 大会や募金情報を掲載中
12月2日~1月末の期間、クリスマス募金となります。
今回支援する(クリスマス募金)毎月1000円から任意の金額で始めて頂けます。
継続的に支援する