支援終了を喜び合えるコミュニティ開発(VOC) | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。

支援終了を喜び合えるコミュニティ開発(VOC)

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2023年6月18日〜23日、ハンガーゼロのフィリピンにおけるパートナー団体の1つであるハンズ・オブ・ラブ・フィリピン(HOLPFI)の活動地を訪ねました。

 今回の訪問の目的は、7年間(関係作りを入れると9年間)支援してきたHOLPFIの手を離れて、アルサビ村のリーダーたちが地域変革を進めていくという区切りのお祝いに出席することでした。式典は村の入り口にある教会の会堂で行われました。アルサビ村を管轄するフォツナ町の町長さんが町会議員全員と参加してくださりお祝いの言葉を述べられました。私もハンガーゼロを通して支えてくださっている支援者の皆さんを代表して、お祝いと励ましの言葉を述べさせて頂きました。これまでのアルサビ(旧マイ)村とHOLPFIの歩みを振り返る動画が流され、功績のあった方々やリーダーたちが表彰されました。続いてリーダーのあるべき姿を教えるために弟子たちの足を洗ったイエスの模範に倣い、代表を務めている酒井保(ハンガーゼロ派遣職員)をはじめとするHOLPFIの皆さんやハンガーゼロの代表として私が村のリーダーたちの足を洗い、その後、リーダーが村の若者や弱い立場の方々の足を洗いました。また教会の賛美チーム、村人たち、HOLPFIのスタッフなどの歌が披露され、会堂に入りきれないほどの村人が集まりました。


祝い食事会の中で住民の宣誓文を披露
 式典の後は、お祝いの食事会です。ハンガーゼロとHOLPFIから豚とスイカをお祝いとして差し入れし、村のリーダーとHOLPFIのスタッフが朝早くから200人分の食事の準備をしてきました。豚が食べられるのは、1年に1度あるかないかの大ご馳走です。村人たちは大人も子どももお皿やバナナの葉っぱを持って大行列を作りました。食事が済むと、集まった村人たちの前でリーダーが「これからも様々な資源を活用し、主体的にコミュニティ開発を進めていきます」という内容の宣誓文を読み上げ、リーダーたちをはじめとする村人が次々と宣誓文が書かれたバナーに署名(表紙写真参照)していきました。その後はくじ引きでプレゼントをもらったり、聖書クイズやゲームをして楽しいひとときを過ごしました。

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住民主体(VOC)らしさが着実に浸透
食事会.jpg 今回の訪問で印象的だったのは、HOLPFIスタッフと村人の間に「与える者と受ける者」という一方通行ではない、良い関係が築かれていると感じられたことでした。それは、アルサビ村の人たちから「支援者」の訪問を歓迎する歌や踊りの派手な出迎えがなかったこと、スタッフや私たちの食事のために里芋などの農作物が届けられたこと、またHOLPFIがマイ村に通いだした頃には、高床式の家を建ててくれたと聞いたことなどから感じ取れました。この9年間HOLPFIが行ってきた、住民が主体となるコミュニティ開発であるビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)の成果が、すごく自然な形で表れているのを見ることができ、とても感謝しました。
 最初に取り組むべき課題として住民が子どもの教育を挙げ、リーダーが熱心に粘り強く小学校の誘致に動いたことも今に大きな影響を与えています。こんな辺境の地では、嫌々送られてきた教師が、任期が終わるや否や町に戻ってしまうのが常ですが、今アルサビ村にいる先生は、任期が終わった後、志願して来てくれたと聞きました。3~6年生を担当している男性の先生2人はとても明るく元気で、授業以外の時もいつも子どもたちと過ごしていました。
以前、村の人たちが総出で建てた校舎の裏には菜園ができていて、先生が生徒と野菜の世話をしていました。先生の一人は、住民が家の庭にバナナの木を植えたり花を植えたり、HOLPFIが来て生活が少しずつ文化的になってきていると嬉しそうに語っていました。学校で学んでくる子どもたちを通して、家族も村の生活も少しずつ変化していっているようでした。

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教師と保護者が話し合って課題解決

 HOLPFI酒井慶子さん.jpg市の予算がついて建てられた新校舎で9月から授業が行われると聞きましたが、机や椅子はもう3年も要請しているのに行政から回答がないので先生と保護者が話し合い、周りにある資源を使って各家庭で椅子を作り子どもたちに持たせることに決めたそうです。
 今後、中学・高校へと進学する子どもの教育費のために生計の安定をはかることや、村人の栄養状態の改善も必要です。自治会や教会の役員、学校の先生などアルサビ村の様々なリーダーたちが協力して課題を認識し、活用できる資源を見つけ、自分たちが描く未来の姿(ビジョン)に向かって進んでいくとともに周りの村を手助けし、持続可能な変革が広がっていくように願っています。
 HOLPFIのスタッフはこれから、アルサビ村のフォローアップをしつつ、新たに関わっていく村を特定するための調査と関係作りを続けていきます。アルサビ村の今の姿の裏には、HOLPFIの皆さんの献身的な働きがあります。今回のアルサビ村訪問で「人への投資こそが持続可能な変化を生む」ということを改めて確認した思いがします。
(報告:海外事業部 浅野陽子)

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