一日も早く本当の平和が来ますように | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。

一日も早く本当の平和が来ますように

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ハンガーゼロの親善大使となって16年。アフリカやアジアの国々、国内外の災害被災地など様々な場所へ行かせて頂き、歌の支援を届けてまいりました。でもこのたびの訪問地は、かつてない緊張と祈りをもって現地に向かいました。その地は、ロシアとの紛争が続くウクライナです。最初は隣国ポーランドでの支援コンサートとの予定でしたが、出発直前にウクライナを中心に歌うことになったのです。
8月14日、ハンガーゼロの田村牧師、安達スタッフ、音響技術スタッフの岡さん、私の4 人のチームでポーランドへ飛びました。翌朝、ポーランド国境の町プシェミシル からウクライナに入ったとたん景色は、のどかな田園風景 へと一変しました。広大なひまわり畑が広がり、戦争が起こっているとは思えない光景でした。

小学校の避難所で出会った子どもたち

最初のコンサートは、ウクライナ西部の町リビウにある 「ブチフ小学校」の 避難所です。到着した時、子どもたちはまだ寝ていました。「えっ、こんな時間なのに?」と言うと、「ユリさん、小学校ですが授業がある訳でない。子どもたちはすることがないのです」と言われ驚きました。本当なら友だちと勉強したり遊んだりしたいでしょう。知らない町に避難してきて、寂しい思いをしている子どもたち...。初めて会う日本人の歌を嬉しそうに聴いてくれた表情が忘れられません。そこで子どもたちのお世話をされていたロダさん、という女性がおられました。明るくて元気いっぱいの方でしたが、ご主人が兵士として戦地に行き、7月に亡くなったとのこと。「マリウポリで」と別人のように暗い表情で言われた時、「ここは戦地なのだ」と現実を突きつけられた気がしました。
そこから車で 30 分位走った所にある「ボリチャ小学校」の避難所でも歌いまし た。校内に入ると、給食室で大きな肉まんのようなものを大量に作っておられます。それは、戦地にいる兵士たちへの食料とのこと。ご婦人たちは、時に談笑しながら作っていましたが、決して戦争を認めている訳でなく、ただ兵士たちが飢えて苦しまないようにと作っておられます。戦争の中で日常を生きる厳しさを感じました。皆さんと手を取り共に歌い、最後に国歌を歌い出すと、自然に全員立ち上がられ、胸に手を置いて聴かれたのです。彼らの国を愛する想いに胸打たれました。

ボリチャ小学校 のコピー.jpg

見舞う人がいない病室を訪ねて

さらに車で2時間程の町イバノフランコフスクに移動しましたが、その途中にある病院で、爆撃で足を失ったご婦人のお見舞いをしました。庭にいた時に突然爆弾が落ちてきて、吹き飛ばされたそうです。その方も同じ病室にいるおばあさんたちも、ほとんどお見舞いに来る人はありません。別れ別れになった家族を思い、泣いておられました。

50.爆撃で左足を失った女性のお見舞い3 のコピー.jpg

復活教会 のコピー.jpg

イバノフランコフスクにある「復活教会」は、教会をあげて避難民の支援をなさっています。私はつたないウクライナ語でも歌いましたが、「歌を聴いて希望が与えられた」とのご婦人の言葉に、涙があふれました。その言葉だけでも「来てよかった!」と励ましを受けました。

辛く悲しい別れの瞬と間き

翌日リビウに戻り、広大な仮設住宅を訪問。4人ずつの部屋ですが、なんと2,000人待ちだそうです。狭い仮設住宅にさえ入ることができず住む所のない方々が多くおられる...、胸が痛みました。そこで出会った女性と二人の子どもが私たちの車に同乗してポーランドに移動することになりました。しかしご主人は一緒に行くことができません。国の命令で 18~ 60歳の男性は国外に出られないのです。目の前で抱き合い別れを惜しんでいる姿を見て、こんな悲しい別れをどれほど多くの方がされているのかと、言葉が出ませんでした。

つらい別れ のコピー.jpg

ポーランドに戻り、ワルシャワにある避難民の教会でも歌いましたが、その時には、私もチームの方々も発熱し、喉の激痛に耐えながらのご奉仕となりました。
そしてコロナ陽性となり、翌日帰国予定が、ポーランドで待機となってしまったのです。でもそれゆえに様々な体験ができ、多くのことを考えさせられました。ポーランドではコロナでも外出規制がないので、ウクライナ独立記念日の行事に参加し、祖国のために祈る数千人の人々と共に涙の祈りを捧げることができました。またワルシャワのバプテスト教会にてウクライナ語の礼拝にも出席できました。あふれる程の人々が集い、外に椅子を出してスクリーンで礼拝される人々の姿に、苦難の中で人は命がけで神を求めるのだと痛感しました。

57.ウクライナ独立記念日にて国旗を持つ のコピー.jpg

以前、この礼拝に出席したハンガーゼロのスタッフから伺いましたが、ここではウクライナ人もロシア人も共に礼拝を捧げているそうです。悲しい戦いをしている国同士であっても、神を礼拝する中では一つ心になる...。これこそ本当の平和なのだと強く思わされました。この旅を通して、「平和」という言葉が違った響きで胸に迫っています。たとえ戦争はなくとも、誰にでも「心の戦い」はあります。私たちが許し合い、愛し合う中でしか平和は生まれないのだと思います。一日も早い終戦を祈りつつ、ウクライナにそして世界に、「本当の平和」が来ますよう心から祈り続けています。

「平和をつくるものは幸いです。-聖書-」


【ウクライナ緊急支援募金】
募金は...
1. 郵便振替 00170-9-68590 一般財団法人日本国際飢餓対策機構「ウクライナ緊急支援」と明記
2. ホームページ https://www.jifh.org/
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