ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2022年11月11日
田村治郎 巡回スタッフによるポーランド・ウクライナ訪問記です。
日本国際飢餓対策機構HPのスタッフブログに掲載されていたものを転載いたします。
翌日ホテルを出発しようとチェックアウトの手続きをしていると、昨夜とは打って変わってマリアさんがさっぱりした顔で「昨日はありがとうございました Дякую за вчора」と挨拶してくださった。子どもたちもぐずることなく、一晩ゆっくり休んで落ち着かれたようです。
さて、一路ワルシャワ駅に向かってアウトバーンを疾走。何度かトイレ休憩や昼食を挟んでのドライブです。マリアさんの2人の子どもは、兄ドミニク君2歳、妹サラちゃん1歳。とてもお茶目で可愛い2人。王さんにもよく懐いていて、休憩したパーキングに広がる芝生を、まるで親子のように走り回っている姿は、旅の疲れを癒してくれる1コマです。
さあ、そこから一走り6時間ほどで到着です。名残惜しいのですが、ここでマリアさん親子とはお別れです。彼女たちはここからさらに列車に乗って親戚を頼って西部の町まで行かれるとのこと。旅路の安全とご主人の守りを祈りお別れしました。
「ドミニク君、サラちゃん」
私たちが宿泊したWarsaw Westin Hotelは、国からの支援をいただいて客室の半分をウクライナ難民の方々の避難所として解放し、残りで通常営業しています。このホテルの駐車場にあるウクライナ人教会で「ぜひコンサートをしてくれ!」と、牧師に懇願され、この時すでに森さんも私もコロナの症状が出始めており、発熱と喉の痛みを感じていましたが、「このために来たんだから!」との森さんの情熱にしばし熱も痛みも忘れてコンサート開催です。岡さんはこの時も音響を担当してくれましたが、まだ熱は下がり切っておらず、いくつか記憶が飛んでるようですが、そこはプロ。しっかり仕事はやり切ってくださいました。ミニコンサートとなりましたが皆さん喜んでくださったことは言うまでもありません。コンサートの中で王さんが思わず「ゆりさんがCOVID-19になりました」と言ってしまいましたが、コンサート後には誰一人躊躇することなく、感謝感謝のハグの嵐でした。
「ワルシャワ・ウクライナ人教会でのコンサート」
「ワルシャワ・ウクライナ人教会の皆さんと」
岡さんの症状も昨日と比べて少し回復したようで、オヤジ特有の「病院は行かない」と駄々をこねていたのですが、森さんの「病院に行きなさい!」との母の一声で、無理から引きずるように保険契約指定の病院へ診察してもらうことに。診察手続きのため病院の受付で保険契約証を見せても、「そんな保険会社は知らない」とあっさり言い放たれて、キャッシュレスとはなりませんでしたが、そこは旅につきもののトラブル、受け入れ乗り切るしかありません。診察してもらうと脱水症状で、3本ほどとっておきの電解質輸液を打ち込んでいただき、2時間ほど休んでホテルに戻りました。ここまでが当初予定していた1週間の弾丸ツアーです。この後の顛末は、1回目~3回目に報告した通りです。
「岡さん、点滴の図」
このブログを書いている今は10月の中旬です。帰国して1ヶ月以上が経ちましたがウクライナの戦況は泥沼化の様相を呈しています。ロシア軍に占領された東部のいくつかの地域はウクライナが奪還したものの、ロシア軍による2日間に及ぶミサイル攻撃で、首都キーウをはじめ、ウクライナ全土の主要都市の火力発電所などライフラインとなるインフラが破壊され、多くの死傷者を出し、戦下の人々はいまだ停電の中厳しい冬を迎えようとしています。核使用も徐々に現実味を帯びてきている状況です。どうぞ、ウクライナに平和が戻りますように。被災し避難しておられる方々が1日でも早く普通の日常を送れますように、祈りの輪を広げてください。私たちハンガーゼロも、さらに支援の働きを継続していきます。皆さんの愛の心を届ける手足として私たちを用い続けてください。
ウクライナの平和を祈りつつ。Миру Україні !
「左から、筆者、森親善大使、岡さん」