ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2022年10月04日
田村治郎 巡回スタッフによるポーランド・ウクライナ訪問記です。
日本国際飢餓対策機構HPのスタッフブログに掲載されていたものを転載いたします。
2回目のPCR検査で陽性となった私たちは、近くのカフェのソファーに身を沈め、カフェでなんとか気力を蘇らせ、航空券の変更手配やら新たなホテル予約やら、今後の5日間の生存確保を始めました。田村一人が陰性でも、さすがにゲスト2人を残して帰国できず「介護者」として居残ることにしました。この時点では皆が元気に回復していましたので、ホテルに落ち着いた後、少し街中を歩いて体力を回復しようと旧市街にある旧王宮広場まで足を伸ばしました。
見事な建物群に目を奪われながら、「あ!このクラクフ郊外通りにある聖十字架教会とこのコペルニクス像は、映画『戦場のピアニスト』の中でナチス・ドイツ軍が進軍するシーンで見たぞ!」と感動しつつ、旧王宮広場に到着してみると、何やら特設ステージもあり、ブルーと黄色のウクライナカラーの洋服に身を包んだ人々が、集まって来るわ来るわ、最終的には数万人が広場は埋め尽くしてしまいました。なんと、この日8月24日はウクライナ独立記念日で、ここポーランドでも避難されて来られた難民の方々が共に集い祖国への思いに心を一つとされていました。私たちも「その日、そこ」におらせていただいたことは、思いもよらぬプレゼントだったと感じています。
セレモニーのオープニングは国歌斉唱。ステージの下では大きなウクライナ国旗を子どもたちが携えています。そこに目を凝らしてみると、なんと森さんも子どもたちの輪に加わって国旗を持ち、号泣していました。いつの間に。地元のカメラクルーも、アジア人が国旗を持って号泣している姿に感動したのか、やたらとレンズを向けていました。きっとその夜のニュースでは「アジア人、号泣する」姿が紹介されていたのでは。
その後ステージでは、ロシアの攻撃を受ける首都キーウや他の町々の姿が映し出され、続くゼレンスキー大統領のスピーチでは、全員が身動ぎもせず、涙を流しながら祖国を思い、そのことばの一つ一つに聞き入っていました。
広場にはいくつもの露店が出ていました。その一つにトイレットペーパーにプーチン大統領の顔写真をプリントしたものが一つ20ズウォティ(約600円)で売っていました。記念に一つ購入しましたが、聞くところでは、射撃の的に同じようにプーチン大統領の写真をプリントして、兵士が撃ち抜く。子ども達までもが射的の的に同じようにプリントしたもの目掛けて射る。それに表された人々のプーチンに対する「憎しみ」を痛感しました。
私たちはここでの経験をまだ咀嚼(そしゃく)できないまま、今日ユダヤ人博物館(POLIN Museum of the History of Polish Jews)で見てきた歴史の事実や、ワルシャワの街中に残るゲットー(ユダヤ人強制居住区域)の跡地など、歴史に刻まれた「痛み・悲劇」を思い返し、少々混乱した頭を夕風にクールダウンさせながらホテルへと戻りました。
さて、明日はいよいよ3回目のPCR検査です。結果は?それは次に報告します。