ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2022年06月30日
【ウクライナ難民支援報告20/安達スタッフ】
5月16日から6月3日までハンガーゼロのウクライナ緊急支援として、隣国のポーランドに行きました。
2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、たくさんのウクライナの方々がポーランドをはじめヨーロッパ各国への避難を余儀なくされています。成人男性は国内に残って戦地に派遣されているために、その多くは女性と子どもたちです。私は今回このような難民となった方々と接する機会がありました。
日本デスクに10名の渡航希望者
ポーランド東部の町プシミシェルにはスーパーマーケットを居抜きにした避難所があります(通称:テスコ)。かつて最大2,000 人の難民がここで生活していました。この避難所の特徴は次の渡航先への手続きができることです。ヨーロッパのさまざまな国がこの避難所に渡航デスクを出して渡航の手伝いをしています。ハンガーゼロも日本デスクを設置して日本への渡航希望者を募った結果、現在までに10名の応募がありました。人々が渡航先として日本を選ぶ主な理由は、ロシアから少しでも離れたいというものでした。日本とロシアの地理的距離は実際は遠くはないのですが、陸路で侵攻されるという恐怖がウクライナの人々中に渦巻いているようでした。
避難所は多くの人が出入りし賑わっていますが、独特の雰囲気がありました。緊張感が漂い、人々の不安な顔で満ちていました。そこでは食料や、寝具、医療品など生活に必要なものは全て無償で提供されます。しかし難民となった方たちの求めるものは安定や安心であり、物質だけで解決できる問題ではないことを痛感させられました。
今日、明日の保証がない中での生活は、本当に恐ろしいものだと思います。私たちが海外で一文無しになり泊まる所もない場合などと比べようもないほど、はるかに不安で厳しい状態を強いられています。家族との安定した暮らし一切を奪うのが戦争であり、紛争です。
避難所で子どもたちを対象とした活動の一つとして、テントを設置してその中にお菓子やおもちゃをたくさん置いている所があります。そのテントの前にはお母さんたちがくつろげるスペースがあり、子どもたちはテントのお菓子やおもちゃを見つけるとすぐに笑顔になって駆け寄って来ます。けれどお母さんの多くに笑顔はありません。
しかし、子どもたちが楽しそうにしている姿を見ているうちにお母さんたちの表情も柔らかくなり、私にいろんなことを話してくれました。そしてテントを去るころにはみんな笑顔になって帰って行かれ、私も本当に嬉しかったことを覚えています。
[首都ワルシャワで渡航申請手続き]
プシミシェル避難所で日本デスクに来られた渡航希望者ワルシャワの日本大使館にお連れしました。大使館では一人ひとり渡航のための面接が行われますが、とてもリラックスした雰囲気で、時には日本のアニメや漫画の話をして難民の方々の緊張をほぐしてくださっていました。現在までに10人のビザが発給されて、すでに日本で生活を始めてい
ます。
難民との交流で厳しい現実を実感
ビザ申請が終わった後は、韓国国際飢餓対策機構が支援するホステルに滞在しますが、ある日そこを訪問すると、日本への渡航希望の家族がボルシチをごちそうしてくれました。限られた食料の中から分け与えてくださったことが本当に嬉しかったです。彼らはロシア語で話すので、出会った当初はコミュニケーションをとることが非常に難しく、スマホのアプリを使って会話していました。しかし一緒に大使館に行ったり、食事をしたりする中でだんだんとお互いの思いが伝わっていくのを感じました。このような交流を通して、改めて戦争の悲惨さを実感しました。私たちは民族も言葉も違いますが、ウクライナ人とロシア人は同じ民族で同じ言葉を話す関係です。しかし分かり合うどころか殺しあうことになってしまっています。戦争がいち早くおわることと、難民となった方たちのこれからの生活が少しでも良いものとなるように願います。
ハンガーゼロの支援でさらに数名がビザの発給を待っています。人々の日本での生活も支援していきます。
12月2日~1月末の期間、クリスマス募金となります。
今回支援する(クリスマス募金)毎月1000円から任意の金額で始めて頂けます。
継続的に支援する