ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。
2022年05月31日
【ウクライナ緊急支援報告16/安達燎平スタッフ】
5月23日 初めて日本大使館へ同行
ウクライナ難民と一緒にポーランドの首都ワルシャワに移動して初めて日本大使館に行きました。ウクライナのドネツク(マリウポリから北へ100キロほど)出身の女性ルボフさん(おそらく30代)とは、3日前にプシミシェル避難所(テスコ)内のハンガーゼロの日本渡航の相談デスクで出会いました。大使館で面接と書類申請をして問題なければビザが発行され、日本への渡航が実現します。ルボフさんのご両親はまだドネツクに住んでおられます。彼女は基本的にはロシア語を話し、ウクライナ語もある程度理解できますが、英語は全く話せませんので、日本での生活は苦労されると思います。ウクライナでは看護師をされていましたが、日本では違う職業を探さないといけないことを大使館員の方はとても心配していました。彼女は申請が出るまで、韓国国際飢餓対策機構が運営している小規模の避難所で泊まることになりました。環境の変化にもよく順応されて、日本に行くことが待ちきれない様子が明るい表情からも見てとれました。
ルボフさんのビザ申請の後、アリサさんというスポーツミニストリー宣教師が運営を担当するワルシャワ郊外の避難所(大きめの住宅)の様子を見に行きました。月井ボランティアも定期的に訪問してフォローしています。ハンガーゼロは、ここに入る難民たちのために家賃を支援しています。
この避難所はポーランド在住のご夫婦の自宅ですが、いわゆる庭付きの大豪邸です。到着すると出迎えた夫人のヘイディさんが避難所を案内してくれました。ここに避難しているのは主にスポーツ選手の家族(大半は母親と子どもたち)で一時期は20人以上滞在していましたが、今は10人になってだいぶ落ち着いたようです。ヘイディさんは得意の日曜大工を生かして部屋をどんどん拡張したり、庭に新たなプレハブ小屋を作ったり、新しいバスルームの工事したりして、夫婦で熱心にこの活動に取り組まれています。元々はアメリカ出身のポーランド系アメリカ人なので母教会のネットワークを生かしてアメリカで集まった募金を改装費用にされています。
この避難所住宅の運営担当者はアリサさん(この日は会議のためアフリカ出張中で不在)が担い、ここに何人を受け入れて、部屋の割当から、家事の当番に至るまで細かく調整されているとのことです。来週にフェンシング選手の家族が避難に来るようです。
カトリーナさん家族との出会い
韓国国際飢餓対策機構が運営するワルシャワの避難所で、カトリーナさん家族と出会いました。カトリーナさんと二人の子ども(3歳と4歳)と彼女の弟ルスランくん(16)との4人家族です。この家族も日本に渡航したいとのことだったので一緒に日本大使に行くことになりました。大使館での面談では、実は韓国に行きたいという話も出て驚かされましたが、結局は日本に行くことで決着がつきました。この人たちの中では韓国と日本の違いをよく認識されていないようで少し不安になりました。韓流ドラマやKPOPが大好きなこともあってなんか観光にいくような感覚で面談していました。
それでも日本大使館の方は親身に接してくださり、隣の韓国大使館で一度アドバイスを受けることなどを提案してくれましたが、コロナで事前予約がなかったので韓国大使館には入ることはできませんでした。
その後、パスポートを持たない家族のために在ポーランドウクライナ領事館で渡航証明書を申請に行きました。領事館に着くと難民であふれていました。仮設のテントやトイレもあり、いままで見た避難所とは違う重苦しい雰囲気を感じました。不安を抱えながら渡航手続きに来ている難民の姿を見ていると心苦しくなりました。話を聞いてみると今からでは証明書を受け取ることは困難なことがわかり、翌朝に出直すことにしました。
翌朝、再び領事館へ
翌朝、家族連れて再びウクライナ領事館にいくと幸いにも2時間ほどで渡航証明を取得。その足で日本大使館に行き無事に渡航申請を終えることができました。大使館からはビザが問題なく発行できれば、6月4日のワルシャワ~成田の政府特別直航便に乗れるとの説明を受けました。日本での生活の心配もありますが、とりあえず日本大使館で申請の手続きが終えられたことはひと段落です。緊張状態から解かれたカトリーナさんのほっとした様子を見て私の心も解放された感じがしました。
今回サポートしてみてとくに感じたことは、小さな子どもを抱えた難民家族が、外国の地で町中を駆け回って渡航手続きをすることは非常に大変な労力であるということです。その中でポーランドの日本大使館のウクライナ難民に寄り添った迅速で丁寧な対応はとても素晴らしく思いました。また反省点として、難民の渡航手続きというサポートは、状況をよく見極めつつ慎重に事を進めていくことが大切であると感じました。
私はここでの活動期間を終えてまもなく帰国の途に着きます。現地ではここで書ききれないほど様々な体験をしました。帰国後は、支援者の皆様にできるだけのご報告をさせていただければと思います。皆様のご支援を心より感謝いたします。
ウクライナ領事館の仮説テントの様子▶︎
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