統合農業・栄養バスケットプロジェクト | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

ハンガーゼロの様々な活動の報告をいたします。

統合農業・栄養バスケットプロジェクト

Picture (10) PLW cooking class.jpg ハンガーゼロの現地パートナー、FHインドネシアの支援地であるメンタワイ諸島のシブルット島の集落では、環境に適合する農業の知識や技術、また栄養や健康的な食事に関する知識の不足が原因で、発育阻害の問題がありました。そこに新型コロナウイルス感染症の大流行が起こり、元々危機的な状況にあった家庭、特に妊娠・授乳期の女性や子どもたちが必要な栄養を取ることがさらに困難になりました。

食料支給依存からの脱却を目指す

 「統合農業・栄養バスケットプロジェクト」は、野菜の栽培と養鶏をセットにした小規模統合農業の研修を通して農家の能力構築に取り組むこと、又啓発活動や料理教室を通して、生鮮食料品の摂取が健康にとっていかに大切かについて人々が理解するすことを軸としています。この取り組みが目指しているのは、地域内での食物の供給を持続可能なものにすること、地域の経済成長と開発を後押しし最終的には、毎週本土から船で支給される食料品に頼る必要がなくなることです。
 この取り組みには141世帯が参加し、その内67世帯の農家がそれぞれ自分の敷地で小規模統合農業を実施しました。まず養鶏を始め、その後ほうれん草、からし菜、チンゲン菜、パパイヤ、なす、唐辛子、カイエンペッパー、豆、ミニトマト、インゲン、落花生、スイカ、キュウリなど多様な野菜を栽培するようになりました。定期的に会合を持って、肥料の作り方や害虫駆除、家畜の管理や野菜の栽培など農業経営に必要な知識を共有し、新しい技術の習得に努めています。

[参加者①] 育てた野菜は販売もできて収入にも

 参加農家の1人であるマリアニさん(45歳)は、「農業支援の取り組みに参加したことで、家計が助かっています。野菜を買うのに夫が稼いできたお金を使う必要がなくなったんです。それだけでなく自分で育てた野菜を売って収入を得ることもできるようになりました。自分で肥料や培養土が作れるようになり、害虫の駆除もできるようになってとても嬉しいです」と語っています。

[参加者②] 様々な新しい知識を得ました
Valentina Saurei _ Photo (14) My chicken house.jpg
 また、同じくこの取り組みに参加しているバレンティナ・スレイさん(42歳)は、「これまではバナナの木やマンゴーの木の下に野菜を植えていましたが、日光が当たる場所に植えることが大切ということを学びました。一緒に参加している人たちとの交流を通して他にも様々な知識を得ることができました。ある参加者は、自分の体験から『鶏が病気で死んだ時は、健康な鶏を小屋に隔離することで病気の蔓延を防ぐことができる』という知識を共有してくれました」と語りました。
 このように、取り組みに参加した女性は1年を通して様々な野菜を摂取できるようになり、自分で育てた野菜を売って収入を得られるようにもなりました。会合で「発育阻害」について学び、妊娠・授乳期に野菜から栄養を摂取することがいかに重要かを理解しました。

[参加者③]  妊婦にとって大切な知識を学べました

Adriana Sarubei (5).jpg 会合に参加しているアドリアナさん(38歳)はマイルペット集落に住む2児の母親です。「妊娠中や授乳中の女性にとって野菜を摂取することがいかに大切か、会合に参加するまでは全く知りませんでした。母乳で育てる重要性についての知識もなく、それを意識したこともありませんでした。最初の子の時には、生後6ヵ月にならないうちから普通のご飯を食べさせていましたし、私自身もほとんど野菜を食べていませんでした。でも今回の妊娠では同じ過ちは繰り返しません。妊娠期間中に女性のグループの会合で勉強しましたし、料理教室にも参加しましたので、野菜を摂取する大切さについてたくさんの知識を身に付けることができました。
 子どもを母乳で育てること、生後6ヵ月を過ぎた子どもには離乳食を食べさせることなど、子どもたちの健康についても学びました。うちの子は今生後4ヵ月ですが、母乳で育てています。インドネシアの伝統的なスープのソト、チキンスープ、魚のスープ、果物のスープ、キャッサバの葉の揚げ物など、以前は作れなかったいろいろな料理を作ることができるようにもなりました。世の中には本当にたくさんの調理方法があるんですね。今回は産後に野菜をたくさん食べたことで、めまいが減りました」と語りました。
地域と関係者との連携を深めていきたい
 この取り組みの目標は、3年後には集落内で持続可能な供給の連鎖ができていることです。そのために、今後は小規模農家の経済状況を向上させて貧困が軽減できるよう取り組みます。それは同時に、地域内でさまざまな食料が入手できるようになることでもあります。このプロジェクトに参加している農家グループが、品質と量の両方で生産性を向上し、市場にアクセスできるようになって市場での販売力を得ること、その2つを実現するために今後、政府・民間を問わず地域の関係者との連携を深めていきます。最終的には集落内の農家が、市場、販売業者、加工業者のすべてと自由に取引できるようになることを目指してこれからも支援を続けていきます。

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