【活動報告】コンゴ・プウェトでの取り組みを地方政府も後押し | 活動報告|ハンガーゼロ

活動報告

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【活動報告】コンゴ・プウェトでの取り組みを地方政府も後押し

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報告:ジェローム・カセバHOLC 代表

内戦の影響で見捨てられていたプウェト

 広域行政区プウェトは、コンゴ民主共和国南東部の上カタンガ州にあり、3首長区(ムウェンゲ、キオナ・ンジニ、プウェト)と1行政区(ムウェロ)に分かれています。2010年の人口調査によると、プウェト首長区の人口は24,767人。

 1998 年に政府軍と反政府ゲリラとの間で紛争が勃発して以来、10年以上に亘って、政府も民間セクターもプウェトにはほとんど投資をして来なかったために、近隣の村から逃げて来た多くの国内避難民を含む、多数の人々が影響を受けています。国内避難民は、かつてそれぞれの避難先の家庭の世話になりながら、劣悪な住環境の中、マラリアや腸チフス、下痢などの感染症の脅威に絶えずさらされて暮らしていました。

 州政府の人的・経済的資源、治療機器の不足によって公共医療は機能していません。医療だけでなく、清潔な水、食料、教育のような基本的な必要を満たすことは、特にプウェトのような地方の、しかも紛争の爪痕の残る地域では大変困難です。

 そのために複数の国際NGOがローカルNGOとパートナーシップを結び、そのような状況に介入してプウェトにおける基本的な必要を満たすためのサービスの提供を肩代わりするようになりました。

 現在、プウェトでは、ローカルNGOと協働する国際NGOが、特にへき地において活動し、貧困に苦しむ人々に保健衛生、教育、トレーニング、農業支援などを提供しています。NGOはプウェトのみならずコンゴ民主共和国内の他の州でも開発に大きく貢献しているのです。

 しかしながら、NGOの貢献にも関わらず、地方政府とNGOの間で認可された協働の実績はないのが実情です。中央政府は何年にも亘って、NGOはコンゴ民主共和国と現政権のイメージを汚し、良くない情報を流すために先進国が送り込んできた「悪」のスパイであると見做(みな)してきました。しかし、先の選挙で選出されたコンゴ民主共和国の新大統領が、開発に対して前向きな見解を持っているため、状況はゆっくりですが確かに変わり始めています。開発に対してより建設的になり、地方政府はNGOとの連携を強めつつあります。

 新型コロナウイルスの影響で予算が減少し、国際援助が縮小されていく昨今、中央政府は開発の成果と持続可能性を上げることに力を注ぐようになり、国内のローカルNGOや組合、協会などと協働関係を構築する地方政府が増加してきています。

プウェトでNGOとの協働が始まる

 NGOと政府双方が、それぞれの目標と利害にこだわりすぎると相乗効果を生むことができませんが、共に同じ方向を向いて協力しあえば、互いの限界を超えてコミュニティが持続可能な開発に向かって努力していく後押しができるようになります。

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写真:プウェトの地方政府とローカルNGO の合同会議

 広域行政区プウェトの地方政府、ローカルNGO、国際NGOの間に、長期に亘る強い関係を築くため、プウェトのローカルNGOの合同技術委員会と地方政府は2020年2月に「より効果的な協働のために」というテーマを掲げて会議(HOLCも参加)を行いました。ワークショップの主目的は、プウェトにおいてNGOと地方政府の間で情報・知識の共有と関係の改善・強化が図られることでした。会議は成功に終わり、2020年末にすべての参加者が再び集まって具体的な進め方を話し合い、その結果、プウェトの地方政府は4つのNGOを選出し、2021年1 月から、それぞれの専門分野において政府と協働することになりました。


「他の地域にも変革を広めて」との要望

 HOLC は、それまでの6 年間支援コミュニティで行ってきた「マインドセット(固定観念)の変革/ VOC」が評価されてその1つに選ばれました。プウェトの最高権威であるルンブウェ・カンガニョカ長官(写真はHOLC プウェト担当パメラ氏)は、プウェトの他の行政区にも同じ変革を広めて欲しいと、HOLC にキオナ・ンジニ、ムウェンゲ、モエロのコミュニティにおいてマインドセット(固定観念)の変革トレーニングのファシリテーターの役割を担うように要請しました。長官は、6つのコミュニティで起きていることが広域行政区プウェトの他の首長区にも広がっていくことを願っているのです。

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 「プウェトの地域住民に何が起きているのかを、私はこの目で見た。そして、それがプウェト首長区外にも広がっていくのを見たい。」というのが長官の言葉です。プウェトで目撃した住民たちの自立した姿を、自分が管轄する広域行政区の他の地域の住民たちにも身に着けてほしいと願う長官は「固定観念の変革のためのトレーニングこそが鍵となる」と語りました。

 この協働において、地方政府はトレーニング期間中の交通費と宿泊費、村から村への移動手段を提供することになりました。1月18~ 24日の間、HOLCのパメラ氏と2 人の住民リーダーはモエロ行政区のキルワに滞在し、地域住民を対象に5 日間のトレーニングを実施しました。キルワはプウェトから137km離れた人口約6,000 人の村で、住民は主に漁業で生計を立てている所です。

小さく始めた働きが広がった!

 今回の地方政府との協働によって、地域住民が自分たちの将来を自分たちの手で変えていくことができるようになると考えています。私たちが小さく始めた働きがこのように広がり、コンゴ民主共和国の多くの人々の命と暮らしに前向きな影響を与えているのを見ることができ、とても嬉しく今後に期待をもっています。

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 私たちが過去6年間に亘ってプウェトの地域住民と共に取り組んできたことを、地方政府が認め協働に踏み切ったことで、近い将来、人々の暮らしを一変させるようになるかもしれません。これからコンゴ民主共和国の他の地域や村でも協働し、自分たちのコミュニティを変革する役割を担っていく地域リーダーが更に多く育成されるのを楽しみにしています。


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